電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
ご質問の適用除外は、改正RoHS指令(以下RoHS IIと略す)付属書IIIの7(c)-1の除外項目「コンデンサ中の誘電セラミック以外のガラスもしくはセラミック中に鉛を含有する電気電子部品(例えば圧電素子デバイス、ガラスまたはセラミックスマトリックス化合物)」に関連するものです。この除外項目の定義については、必ずしも明確でありませんが、IC、LSIに使われているすべてのセラミックパッケージに含有される鉛が適用除外に該当するとは断定できません。
この除外が適用される例は、Oeko-InstitutとFraunhoferIZMに報告書の説明の範囲で考えることができます。
上記報告書では付属書IIIの7cの除外を総称して電子セラミック部品、例えば圧電部品中の鉛と表現しています。より具体的にはこの除外に関連する部品中の鉛やその化合物は厚膜技術、圧電性、誘電性セラミックやPCT抵抗で使われるものです。
それらの部品では、鉛成分が必須となっており、その代替材料は技術的にまだ完成していないと報告されています。
今回、除外項目の見直しに当たっては、レビュープロセスでELV指令除外と技術的に同じ問題をカバーしていることから、除外の範囲をより明確にするため用語を統一することになっています。具体的な部品で除外項目を明確にすることも検討されていましたが、具体的に列挙することが困難なことから、今回の除外項目の表現が採用されています。
対象は、圧電セラミック以外に、厚膜回路基板等に使われる低融点ガラス材料中の鉛については適用除外になりますが、すべてのセラミック製のIC、LSIパッケージにも適用されるものではないと解釈できます。なお、上記報告書では不確実性を避けるため、用語の「ガラスまたはセラミックス中の鉛」としているマトリックス組成物の定義をガイダンスノートまたはFAQに提供するように欧州委員会に推奨しています。
なお、現行RoHS指令の基準で用途除外が認められていた鉛とカドミウムの含有製品の4つの用途について、EU委員会からの依頼でOeko-InstitutとFraunhoferIZMが行ったRoHS IIの基準による除外の連続性の評価結果が別途報告されています。そのなかの1つが集積回路、デイスクリート半導体の部品に使用されるコンデンサ向けのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)をベースにした誘導セラミック材料の鉛で、RoHS IIの付属書IIIの7(c)-IVとして用途除外が推奨されています〔RoHS Iでは、2011年9月8日の委員会決定2011/534/EUにおいて附属書に7(C)-IVとして挿入〕 。
なお、RoHS IIの付属書IIIの7(c)-IIIでは、定格電圧が交流125Vまたは直流250V以下の誘電セラミックス中の鉛は2013年1月1日には適用除外が廃止されることになっています。
今後も引き続き、RoHS IIにおける除外見直しをウォッチしていくことをお勧めします。