電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
ご質問の太陽光発電用パワーコンディショナーは、改正RoHS指令(RoHSII)第2条4項(i)においての適用除外用途には当たらないと考えます。同項では太陽光発電システムに関して次のように記載しています。
「一般用、商業用、産業用、住宅用としてエネルギーを太陽光から作り出し、永久的に使用するために専門家によって組み立てられて設置されるよう設計されたシステムで使用されることを意図した光起電性パネル」
(photovoltaic panels intended to be used in a system that is designed, assembled and installed by professionals for permanent use at a defined location to produce energy from solar light for public, commercial, industrial and residential applications)
以上の通り、指令での記述は「光起電性パネル」に限定したものになっています。太陽光発電用パワーコンディショナーは、ここに記述された「光起電性パネル」により生成された直流電源を一般的な電気機器で使用が可能な交流電源に変換することを主な機能とするほか、システムのさまざまなコントロールを行う装置であると解釈します。すなわち、同項で規定されている「光起電性パネル」の一部分ではなく、「光起電性パネル」とともにシステムを構築する独立した電気機器であると判断すべきだと考えます。
そのうえで、太陽光発電用パワーコンディショナーの定格入力電圧は、出力4.5kwの家庭用のものでDC450V以下、500kwの業務用のものでもDC750V以下程度であり、同指令第3条1項で定義されている「正常に機能するために電流または電磁波を必要とする機器、及びこのような電流または電磁波を再生、伝達あるいは測定するための機器で、交流1000ボルト以下、直流1500ボルト以下の電圧で使用されるよう設計されたもの」に該当し、同指令の適用を受ける電気電子機器であると考えます。
ただし、FAQ案の中では、第2条4項(e)大型固定据付け装置の大きさに関して「定格出力が375kw以上のもの」という例示もあり、パワーコンディショナーの仕様によっては大型固定据付け装置として適用除外品に該当することも考えられます。この点につきましては2012年8月10日付コラムにて詳細が解説されていますが、今後の動向に注意をすることが必要です。
また、システムを構成する各種のユニットはもとより、システム内で各ユニットを接続しているリード線に関しても「250V未満で電源を供給、電気電子機器を延長、接続するためのもの」と定義づけられたもの(第3条5項)である場合、同指令の対象となることが考えられますので、同様の検討を行うことが必要になると考えます。詳細につきましては2012年9月14日付コラムをご参照ください。