電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では、原則、0.1wt%を超える鉛の含有は禁止されています。しかし、「禁止物質の除去、代替が科学的・技術的に不可能である」「代替品の信頼性がない」「代替品に起因するマイナスの影響が便益を上回る」などの理由から代替が困難な一部用途を「適用除外用途」として特定し、含有制限の免除や許容濃度の緩和が認められています。
その中の1項目として、ご質問の「6(a)合金成分として、機械加工用鋼材および亜鉛メッキ鋼に含まれた0.35wt%までの鉛」が挙げられています。例えば、機械加工用鋼材が適用除外になっている理由として、鉛フリー鋼材では機械加工性が低下し、その結果、経済面だけでなく加工段階でのエネルギー消費量の増加といった環境面でのマイナス影響があり、鉛の代替化は現時点で実用的ではないと、2009年の調査報告書で結論づけられています。
以上のように、適用除外用途に該当している部品を含んでいたとしても、貴社製品はRoHS指令の含有制限に適合しているといえます。
なお、RoHS指令は2013年1月から改正RoHS指令〔以下、RoHS(II)〕になります。これまでの適用除外用途はRoHS(II)附属書IIIに引き継がれるため、ご質問の「6(a)合金成分として、機械加工用鋼材および亜鉛メッキ鋼に含まれた0.35wt%までの鉛」も継続して適用が除外されます。
また、ご質問の適用除外用途には、廃止期限が設定されておりませんが、RoHS(II)では有効期限は最長5年間(2016年7月)となっています。将来的には、技術や科学の進歩により、適用除外用途が廃止されることもありますので、適用除外用途の動向や関連する技術動向を適宜情報収集しておくことが必要です。
また、RoHS(II)では、含有制限に加え、最終製品にCEマーキング制度が導入され、適合性を宣言するCEマークの貼付や内部管理、技術文書の作成等が新たに義務化されました。RoHS(II)の適合性を継続的に確保し、外部に説明できるようにするためには、どの適用除外用途が自社製品のどこに該当しているのかといった情報を管理し、適用除外用途の改廃や関連技術動向を把握し、適切な対応を実施していくことが必要となります。