RoHS指令へフタル酸エステル類を制限物質として追加検討してきた経過は以下のようです。
- 改正RoHS指令〔以下、RoHS(II)〕の法案審議過程において、フタル酸エステル類が制限物質として提案されましたが、最終的に承認されませんでした。
- RoHS(II)においては、フタル酸エステル類を含む物質制限の見直しに関し、次のように定めています。
(1)前文10において本指令の附属書は、REACH規則附属書XIV(認可物質)とXVII(制限物質)を考慮して定期的に見直すべきであるとしています。特に、HBCDD(ヘキサブロモシクロドデカン)、DEHP[フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)]、BBP(フタル酸ブチルベンジル)とDBP(フタル酸ジブチル)は、これらの使用から生じる人間の健康と環境へのリスクから、最優先事項として見直すべきであるとしています。
(2)本文第6条において次のように規定されています。
附属書IIの制限物質の見直しと改正を、2014年7月22日以前に行い、その後も定期的に欧州委員会の主導や加盟国の提案に従い見直しと改正を行わねばならない。
附属書IIの制限物質の見直しと改正は、特にREACH規則附属書XIVとXVIIと整合を図らなければならない。
- RoHS指令との整合を図らなければならないとされたREACH規則においては、先行してDEHP、BBPとDBPは2011年2月18日に、REACH規則の附属書XIVに収載され認可物質となっています。
- 欧州委員会は2013年10月22日にRoHS(II)の制限物質(附属書IIに収載)の見直しに対する第4次意見募集を開始しています。
この意見募集においては、RoHS(II)の制限物質への追加候補として既に特定されている4物質(HBCDD、DEHP、DBP、BBP)の評価文書案に対して意見の提出を求めています。
この公表された評価文書案における結論は、4物質すべてRoHS(II)附属書IIへの追加を勧告する内容となっています。
EEE中の許容されるべきDEHP、DBP、BBPの最大濃度は、それぞれ均質材料当たり0.1重量%を提案しています。
- 2012年に欧州委員会DG Environmentが2つの主目的で研究を開始しています。その目的の1つがRoHS(II)の前文10において、見直すように指示されている将来の制限物質を評価することです。この研究の成果が2014年1月にファイナルレポートとして公表されています。
この研究の成果として、RoHSにて制限する目的で、物質を詳細に評価するための優先事項に従ってランク付けした制限物質の一覧表を作成したことです。
一番優先的に制限物質として加えられる8物質の中にご質問にありましたDEHP、DBP、BBPがあります。
この詳細はウエブサイトumweltbundesamt1)、2)で確認できます。
以上述べたようにRoHS指令の制限物質に、フタル酸エステル類(DEHP,DBP,BBP)が追加される可能性は高いのですが、現在審議中で時期は確定していません。
Oko-Institut e.V.は新たに制限対象物質に追加される可能性がある物質についての分析のインターネットコンサルテーション(2月7日から4月4日)を開始しました3)。
当面は審議動向を注視する必要があります。
1)http://www.umweltbundesamt.at/fileadmin/site/umweltthemen/abfall/ROHS/finalresults
/0_RoHS_AnnexII_Final_Report.pdf
2)http://www.umweltbundesamt.at/rohs2
3)http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=211