電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令は上市された電気・電子機器に適用されます。
RoHS指令のFAQでは、「RoHS指令は、上市(put on the market)される製品にのみ適用されます。自身の使用のため(for own use)に製造された製品は、指令の適用範囲から除外されます」と記載されています。
なお、上市については、RoHS指令で「put on the market」とされていたものが、RoHS2では「placing on the market」に用語が変更になりました。
Placeには、置くまでの行為を注意深くするというニュアンスがありますので、上市する過程にこれまでよりも慎重を期す、ということを明確にしたと考えられます。
上市(placing on the market)については、2000年に発行された「ニューアプローチおよびグローバルアプローチに基づく指令の実施に関するガイド(The'Blue Guide')」1)を改版した「EU製品規則の実施に関するブルーガイド」
が2014年4月に発行され、同ガイドで上市に関連した説明(2.2 MAKING AVAILABLE、2.3 PLACING ON THE MARKET)が説明されています。
同ガイドでは、自身の使用に関連する上市の説明として、次の2点が記載されています。
この2点を踏まえると、例えば、EU域内企業の本社生産技術部門が自社工場の設備を作り、EU域内工場に引き渡す場合は、上記2点の両者ともに該当し、上市ではないことは明らかです。
一方、ご質問のようにEU域外企業がEU域内の工場等に設備として機器類を持ち込む場合には、法人格の取扱い(2者間で所有権の移転が発生する場合や自社での使用と見做されない等)によっては上市に該当する可能性があり、その場合にはEU域内の法人は「輸入者」と見做され、RoHS指令の対象となります。
このように、日本企業が現地法人の工場内で使う設備を輸送(輸出)する場合、「上市」と捉えなければならないのかは個々のケースによるものと考えます。輸出時のインボイスの書き方や現地法人と貴社の資本関係などでも判断が分かれると思いますので、輸出管理部署や現地法務部門に確認されるのがよいと思います。
また、自社工場用の設備に関してRoHS指令は適用除外となる場合にも、自社工場で使用する場合は労働安全衛生関連法規制やREACH規則などが適用され、基本的に有害物質は規制されますので注意が必要です。
1)http://ec.europa.eu/enterprise/newapproach/legislation/guide/document/1999_1282_en.pdf