電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令はEU以外にも世界に広がりをみせ、各国で類似の規制が施行されています。ここではEUのRoHS指令を例にお答えします。
EUのRoHS指令はEU域内の法律ですので、直接日本の企業に適用されるのではなく、EU域内のEEE(電気電子機器)の製造者、輸入者および流通業者などに適用されます。つまり、EU市場に上市しないEEEにはRoHS指令は適用されません。
EU市場に上市する最終製品の日本国内の製造者(セットメーカー)は、適切な適合性評価手続を実施し、技術文書や適合宣言書等を作成し、EEEにCEマークを貼付する必要があります。
貴社の製品が部品、ユニットの場合には、セットメーカーに直接納入する場合と間接的に納入される場合があります。
直接セットメーカーに納入する場合は、セットメーカーは貴社から調達する製品(部品、ユニット)のRoHS適合およびその証としての非含有情報の提供を要求します。
また、貴社の製品がユニット品などに使用されるため川中企業に納入し、さらに間接的にセットメーカーに納入される場合は、川中企業から同様の要求がなされます。
いずれの場合も貴社はRoHS適合の対応が必要になりますので、同様に貴社の原材料や部品の調達先にRoHS適合と非含有情報を要求する必要があります。このようにしてサプライチェーン間での有害物質の非含有と情報伝達がなされます。
以上の通り、国内にのみ販売する貴社製品でも間接的に輸出される場合がありますし、また納入先が国内向け製品であっても顧客独自の要求事項として、取引契約や調達基準によりRoHS対応を要求している場合がありますので、取引先との情報交換が重要になります。
なお、現在国内でのみ販売されていても、将来的には海外市場に展開する顧客と取引することも考えられますので、可能であれば有害物質の非含有対策をされることがよいと思います。また、法規制の対応だけでなく顧客満足を目指すことは、貴社の事業発展にも寄与するものと思われます。
一方、日本では資源有効利用促進法に基づいて、パーソナル・コンピュータ、エアコン、テレビ、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機を対象に、部品等に含有する特定有害物質(RoHS指令と同じ6物質)の種類および含有率に関する情報の提供(JIS C 0950による)を最終製品に行う含有表示の義務があります(J-MOSS)。