電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS(II)は、第7条(d)で対象製品のEU上市後、その製品の適合宣言書や技術文書を10年間保管することを製造者に義務付けています。この義務を負っているのは貴社の顧客であるEUへの輸出企業です。
技術文書作成の手順は、RoHS(II)の整合規格として2012年にEU官報で公示された整合規格(EN50581)に定められています。
整合規格EN50581は、「有害物質の使用制限に関する電気電子製品の評価のための技術文書」を規定するもので、製造者が該当する物質規制への適合を宣言するために必要な技術文書を集めることを目的として作成されています。
前文には以下の記載があります。
「均質材料のレベルで適用される規制については、複雑な製品の製造者にとっては、最終組立製品に含まれるすべての材料に独自の試験を実施することは非現実的である。製造者はサプライヤーと連携し法令を順守していることの管理や、法令順守の証拠として技術文書を集める。このアプローチは業界と執行当局の両方で認識されている」
EN50581に従って貴社の顧客が技術文書を作成することになります。
RoHS(II)の要求は、特定有害物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBDEおよびPBBの6物質)の均質材料あたりのカドミウム0.01wt%以下、その他5物質は0.1wt%以下の含有制限です。
RoHS(II)対象の電気電子機器の均質材料当たりの禁止物質の含有量は完成品の状態で計測、測定することは不可能です。
従い、RoHS(II)指令第16条第2項に以下の規定があります。
「試験または計測されるか、もしくは整合規格に則り評価された原料、構成部品及び電気電子機器は本指令の要求に適合するものとみなすこととする」
技術文書を作成するために、製造者は以下のプロセスを実施します。
上述のi、iiおよびiiiは同時にすべてが要求される訳ではなく、材料、部品等への含有制限物質の含有可能性およびサプライヤー信頼性のリスクマネジメントに基づいて提出文書の要求が決まることとなります。
従い、貴社の顧客であるEUへの輸出企業(以下、顧客)からの要請により、貴社は文書の作成、提出を行うこととなります。基本的には顧客に技術文書の保管義務がありますが、貴社においても提出文書の保管管理を行い必要があれば適宜変更管理されることが求められます。
電子ファイルによる保管に関しては、規則765/2008/EC第27条3(b)において、次のような記述があります。
「関連のある共同体調和法によって要求されている電子化文書」
この記述から、文書の電子ファイル化が容認されていることがわかります。
従いまして、電子ファイルでの保管については保管管理、セキュリティ管理等必要な管理ができる状態であれば問題はないと思われます。