貴社が現状でRoHS指令に適合するためには、はんだ付の工程での共晶はんだの誤使用防止とはんだのコンタミネーション防止のための管理が必要です。
はんだ付の方法には3つあります。電子部品が表面実装部品の場合のリフローソルダリング(以下、リフロー)、挿入部品の場合のフローソルダリング(以下、フロー)、手付はんだです。
両方の部品がある場合はリフローを先行するのが一般的です。いずれの方法でもコンタミネーションを排除するための管理と更には管理継続するための仕掛けづくりが必要です。
1.コンタミネーションを防止するための管理
第一には、使用するはんだと設備の管理とそれらに付随する管理です。
- (1)はんだの管理
鉛フリーハンダについて識別管理を徹底して誤って鉛入りはんだを使うことがないようにすることです。保管場所も別にすることです。
- (2)コンタミネーションの可能性の排除
次に大切なことは同一設備で製造することによるはんだのコンタミネーションの可能性を排除することです。
- リフロー
リフローには前工程(はんだ印刷)があり、はんだ印刷機が使われます。
ここで大事なのはクリームはんだ(はんだペースト)を基板に転写するためのスキジー(ヘラ状のツール)の管理です。RoHS指令適合製品用の専用品を用意し、さらにRoHS指令非適合製品用のものと一見して識別できるように色で分ける等の識別管理が必要です。その他、基板に直接触れるバックアップピンの清掃管理も必要です。
- フロー
部品を仮付した基板の下面をはんだ槽に付けながら通過させ、溶融はんだの波面に接触させることで部品のリード部とスルホール間にはんだを入れてはんだ付けする方法です。
通常、はんだ槽内には200-300リットルの溶融はんだが入っており、RoHS指令非適合製品からRoHS指令適合製品へ切り替える場合の槽内の清掃は極めて大変で非現実的です。従って、フローについては鉛フリーはんだ専用機が必要です。
- (3)手付はんだ
手作業ではんだ付する場合では、RoHS指令適合製品用のはんだごてを専用化し、識別管理することが必要です。
糸はんだの誤使用を避けるために、共晶はんだと鉛フリーはんだは、違う色を塗布しておくなどが望まれます。
- (4)その他の付随管理
上述の工程内で使用する搬送治具やはんだ印刷後リフロー前の半製品の一時保管保管ラックの専用化が必要です。
2.管理を継続するための仕掛けづくり
作業者が変わっても管理できるように管理手順を明確化し、文書化することが大切です。特に、はんだ濡れ性等の不良が発生した場合の対応の仕方、例えば手付はんだの場合の作業手順や留意点等を決めて作業要領書にまとめて活用することが大切です。
3.お客様/顧客対応
お客様からははんだ非含有証明の提出を求められることがあります。
基本は作業管理による順法説明になります。ワーク切り替え時の管理項目を明確にし、実施記録を残すことになります。
可能であれば、定期的あるいは初ロット製品について、はんだ槽やキャリア治具等の鉛測定をXRF(蛍光X線分析装置)などで、実績値を確認すると、順法証明の信頼性が向上します。