電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令は特定の有害化学物質の含有を制限していますが、技術的に代替が困難な用途については、含有制限の対象を除外する具体的な用途と有効期限が附属書IIIおよびIVで定められています。記載されている有効期限が過ぎるとその適用除外用途の恩恵を受けることはできません。
ただし、第4条4項では、スペアパーツについて次のとおり定めています。
以下の電気電子製品(EEE)の修理、再利用、機能更新等の目的で使用されるケーブル類及びスペアパーツは含有制限の対象外とする。
(a)~(e):RoHS指令の適用以前に上市されたEEE(記述省略)
(f):適用除外用途に該当し、当該適用除外用途の期限満了前に上市されたEEE
すなわち、当該適用除外用途の恩恵を受ける部品などを組み込んだEEEが、適用除外の期限満了前に上市されていれば、そのEEE用のケーブル類及びスペアパーツは、含有制限の対象外となります。従って、適用除外用途に該当するスペアパーツは上市可能になります。しかし、適用除外用途の有効期限後に上市されるEEEは適用除外の恩恵が受けられないのは勿論、そのEEE用のスペアパーツとしても上市できません。
上市する場合は、有効期限前に上市されたEEE用のスペアパーツであることの明確な識別が必要と思われます。そのため、貴社が販売するスペアパーツが、RoHS指令の適用対象外であること(期限前に上市されたEEEのみに利用されること)を税関など当局に説明できるようにすることが必要です。
附属書IIIには、適用除外用途の有効期限が明示されている用途と明示されていない用途があります。明示されていない用途の期限は、旧RoHS指令から適用されていたカテゴリー1~7及び10については、適用後最大5年(2016年7月21日)と定められており、多くの適用除外用途の期限が2016年7月21日となっています。本来であれば有効期限切れの6か月前にあたる2016年1月21日までに欧州委員会が有効期限の更新決定を行わなければなりませんでした(第5条5項)。しかし、現時点ではいまだ更新決定がされていません。そのため、仮に有効期限が過ぎたとしても決定されるまで有効であり、また、適用除外用途の更新が認められない場合は、その決定から12~18か月後までは適用除外用途が認められることになります。
なお、2016年7月21日に有効期限を迎えるRoHS指令附属書IIIの更新については、下記に詳しく解説されていますので参照ください。