電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS(II)指令では第4条(特定有害物質の含有制限)の適合性について、CEマーキングで行うことを要求しています。CEマーキングによる適合性確認は整合規格であるEN50581に適合していることで行います。EN50581では、「部品中の制限物質の含有可能性」と「サプライヤの信頼性」を評価したうえで、下記の技術文書のいずれかをand/orで収集するとしています。各文書の詳細に関しては、Q.489をご参照ください。
「部品中の制限物質の含有可能性」については、IEC62321-2(旧IEC/PAS 62596表B1)や過去の知見や経験から判断し、「サプライヤの信頼性」については、検査や過去の経験等により決定し、自らが基準を定めて評価するとしています。
評価基準の参考として、BOMcheck を運営するエンバイロン社は「RoHS2技術文書の要件に準拠するBOM checkならびにEN50581の使用手引書」1)のなかで、横軸に「材料、部品、半組立品における制限物質の含有可能性」を高い(High)、中間(Medium)、低い(Low)に区分し、縦軸に「サプライヤのRoHS指令適合に対する信頼性」を下記の3タイプに分類したマトリックス表のそれぞれの組み合せに基づき、収集するべき技術文書を確定する手法を提案しています。
タイプA:サプライヤはRoHS指令やRoHS指令適合を確保するための包括的で効果的な品質管理システムをよく理解しており、サプライヤから購入する制限物質の含有リスクが高い部品・材料について適宜分析を要求している。
タイプB:サプライヤはRoHS指令をよく理解しており、RoHS指令適合を確保するための品質管理システムを有するが、サプライヤから購入する制限物質の含有リスクが高い部品・材料の適宜分析を要求していない点などが欠けている。
タイプC:サプライヤはRoHS指令の要件を理解していない、もしくはRoHS指令適合を確保するための品質管理システムを持たず、納入される部品・材料のサプライヤからの宣言書を確認していない。
この手法では、最も信頼性の高いタイプAに分類されたサプライヤであれば、供給部品中の制限物質の含有可能性が高い(High)場合であっても材料宣言書の収集で済ませることできるとしています。
このように「部品中の制限物質の含有可能性」が「高い」場合であっても、サプライヤの信頼性の評価が高ければ、制限物質の含有リスクを低減させることができるので、必ずしも分析試験結果を収集する必要はありません。発注側にとっては、分析試験結果を入手することにより根拠の確実性は高まりますが、サプライヤにとって分析試験結果を要求されることは、コストや負担を大きく増加させることを意味します。そのため、「部品中の制限物質の含有可能性」と「サプライヤの信頼性」については発注者にとって過度に安全な評価を行うことなく、サプライヤと協議しながら適正に評価を進めていくことが重要です。