電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
アジア各国のRoHS指令で規定する固有の義務について整理してみます。
アジア諸国ではEU RoHS(II)指令と類似の規定をしておりますが、適合宣言書はEUの適用規定に加え、他の規定も適用している場合があります。
EU RoHS(II)指令で定める含有制限有害物質と均質材料当たりの最大許容濃度は下記の通りです。
上記6物質に加え、フタル酸エステル類4物質が2019年7月22日から適用となります。物質名称と最大許容濃度は以下です。
アジア諸国の場合の規定は以下の通りです。
1.含有制限有害物質
中国において6物質に加え次の制限物質が追加されています。
その他の国では6物質のみが制限物質となっています。
2.均質材料あたりの最大許容濃度
すべての国でEU RoHS(II)指令と同様の規定となっており、下記の通りです。
中国の場合は、最大許容濃度の含有規制ではなく、最大許容濃度以上含有している場合は、その旨表示1)することが要求されています。
3.適合証明
EU RoHS(II)指令では、技術文書を作成し、適合性宣言書(Declaration of Conformity(DoC))により適合宣言をしたうえで、CEマークを張り付けることが求められます。
一方、シンガポールRoHS法案では、適合宣言書とEU RoHS指令の整合規格であるEN50581:2012に準拠した技術文書の作成および維持に加え、国内製造製品については販売前、輸入製品については輸入段階での適合宣言書の提出が求められています。2)
また、中国では2012年7月18日に「企業電子電気製品汚染制御適合性声明規範」(案)が公表されました。適合性声明規範では、EUのCEマーキングに類似した適合声明書(DoC)の様式が定められています。
4.電気電子機器に組み込まれる電子部品への適用有無
EU RoHS(II)指令では第4条(防止)で「上市される電気電子機器(以下一部略)に附属書IIにリストされている物質を含まないことを確実にする」こと、第7条(製造者の義務)a項で「電気電子機器を上市する時には、電気電子機器が第4条の要求事項に従って設計・製造されることを確実にする」ことが定められています。
したがって、RoHS(II)指令の義務は電気電子機器に組み込まれる電子部品へも適用されると認識しておく必要があります。
なお、上記で記載した事項以外にも各国固有の規定が定められておりますので、貴社が納品する国の情報を事前に確認されることをお勧めします。
1)/well/rohs/column/160729.html
2)/well/rohs/column/151023.html