電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
ご質問のとおりRoHS(II)指令では含有制限物質の最大許容濃度が定められていますが、濃度計算の分母は均質材料とされています。
均質材料については、RoHS(II)指令第3条20項にて「全体が単一成分の材料、または、ねじを外す、切断、破砕、粉砕および研磨プロセスのような機械的な手段で解体したり、異なる材料にできない材料の組合せで構成される材料を意味する」と定義されています(2018年5月11日:FAQ535参照)。
したがって、RoHS(II)指令の最大許容濃度は1製品ごとに評価するものではなく、あくまで均質材料単位で評価することになります。
ここでRoHS(II)指令の第1条には、廃電気電子機器(WEEE)の再生と処分を考慮して電気電子機器(EEE)に有害物質の使用を制限することが記載されており、本指令がEU全体での有害物質の削減を目的とすることが分かります。
この廃電気電子機器の再生や処分については、別途WEEE(II)指令(Directive 2012/19/EU)があり、WEEE(II)指令第16条(4)項には上市されたEEEの量やWEEEの量について次のように定められています1)2)。
(4)加盟国は、国内で上市、回収、再使用、リサイクル、他用途で再利用されたEEEの製品カテゴリーおよび量と、輸出されたWEEEの量について、年間重量(推定値を含む)を収集しなければならない。
また、WEEE(II)指令の附属書X「第16条において言及される登録および報告のための情報」には、報告されるべき情報が記載されています。
B. 報告時に提出する情報
これにより、生産者、輸入者等は加盟国に製品総重量を含めた情報を登録する義務を負います。
以上ですが、WEEE(II)指令は電気電子機器の廃棄の予防と廃棄後の処置を定めており、RoHS(II)指令は、電気電子機器の廃棄後の環境汚染を予防するために特定有害化学物質の使用を制限するのが目的です。
そのため、RoHS(II)指令の前文(4)でも、廃棄物法令では予防が最優先事項であり、予防は、材料や製品中の有害化学物質を削減する手段であると定義されています。
WEEE(II)指令とRoHS(II)指令の関係につきましては、コラム(2018年6月8日「WEEE(II)指令(Directive 2012/19/EU)の概説」、2014年2月21日「海外法規制の基礎解説その2~WEEE指令、RoHS指令やREACH規則などの関係整理~」)が参考になります。
1)https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=celex:32012L0019
2)https://www.tkk-lab.jp/(会員ページ)