電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
自社で加工する部品がRoHS(II)指令を遵守しているかどうかは、設計・開発、購買、製造などすべての工程で特定有害化学物質が加工部品に含有するリスクがないことを確認することで判定することができます。
具体的には工程ごとに製品含有化学物質管理の仕組みを設けて、基準を満足することを記録として残しておくことにより、特定有害物質の非含有を証明することができます。
まずは自社加工部品の各工程にて、特定有害化学物質が加工部品に含有するリスクのある工程を洗い出し、含有させない仕組みを構築し、適切に管理することになります。
製品含有化学物質管理の仕組みの構築にあたっては、日本規格協会が発行している「JIS Z 7201:2017製品含有化学物質管理-原則と指針」が参考になります。JIS Z 7201:2017では開発・設計から引き渡しまでの各工程における化学物質の管理基準を定め、効率的かつ確実な化学物質管理が実践されることを目的としています。
ISO9001などの自社の品質マネジメントシステムにRoHS(II)指令の要求事項を統合することで、RoHS(II)指令に準拠した製品含有化学物質管理基準を作成することが可能です。自社の品質マネジメントシステムに基づき作成される書類がRoHS(II)指令に準拠していることを証明する書類(エビデンス)として使用できます。
JIS Z 7201:2017附属書AにはJIS Z 7201:2012とISO9001:2015(JIS Q9001:2015)との対比が記載されていますので、自社の製品含有化学物質管理の仕組みの構築の際の参考にしていただければと思います。
自社の製品含有化学物質管理の仕組を構築したうえで、下記工程にて作成されたエビデンス(太字)を収集して、最終的に自社の加工部品がRoHS(II)指令に適合しているか判断することになります。
(1)開発・設計工程
RoHS(II)指令を遵守できるように調達基準、製造工程・製造条件などを定めて、「図面・仕様書」で購買・製造などの各部門に通知します。
(2)購買工程
サプライヤーからの供給部材のRoHS(II)指令への適合確認情報を取り寄せ、部材ごとの適合確認を行うことになります。適合確認手段に関しては、整合規格であるEN50581(有害物質の使用制限に関する電気・電子品の評価のための技術文書)が参考になります。整合規格EN50581は適合性確認を行ううえで必要とされる文書を下記の通りに記載しています。
サプライヤーによる自己宣言、および/または(and/or)契約上の合意、材料宣言および分析試験結果(EN62321に基づいた分析方法による)
どの文書を要求するかに関しては、サプライヤーの信頼性と製品に特定有害物質が含有する可能性により変わります。
(3)受入工程
サプライヤーから納入された部材を検査して、図面・仕様書に適合しているかを確認し、適合していない部材は後工程に流れることを防止します。受入検査の結果を「受入検査記録」として記録に残します。
(4)製造工程
製造部門では製品の品質を保持するために「QC工程図」・「管理工程図」・「作業指示書」を作成して、特定有害物質の誤混入や設備・治具からのコンタミネーションを防止します。製造工程では「QC工程図」・「管理工程図」・「作業指示書」通りに製造を実施したかを「チェックシート」に記載して記録として残します。