電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
顧客から取引条件としてIEC 62321-8:2017が指定され、貴社が受諾(契約)している場合は、契約条件としてIEC 62321-8の試験データを提出しなくてはなりません。
顧客との契約が明確でないものの、顧客から試験データを要求された場合は(状況により下請法に抵触の可能性がありますが)、以下のRoHS指令の要求をご説明することをお勧めします。
1. RoHS(II)指令の法的要求として、必ずしもIEC62321-8:2017に基づく分析結果の提出は義務付けられていません。
顧客(RoHS指令でいう製造者)は、Decision No 768/2008/ECのモジュールAを適用し、整合規格EN50581(有害物質制限に関する電気・電子製品のための技術文書:2012)に沿った技術文書および適合宣言書を作成することが求められています。
EN50581では技術文書作成にあたり、サプライヤーから収集する情報として、以下の3つの文書を上げています。
サプライヤーから入手する情報は、材料・部品などにおける物質の含有可能性やサプライヤーの管理状況等を踏まえたリスク評価を実施し、その評価結果に基づいて決定します。
RoHS(II)指令の法的要求として、必ずしもIEC62321-8:2017に基づく分析結果の提出は義務付けられていません。
製造者がフタル酸エステルの含有量が許容濃度を超えるリスクが低いと判断すれば、サプライヤーの宣言書や材料宣言の提出、高いと判断すれば、EN62321規格に記載された分析試験結果の提出が求められることになります。
分析試験結果が必要と判断した場合は、原則として含有制限物質の分析はIEC62321の規格に従って行います1)。フタル酸エステルの場合、2017年3月に発行されたIEC62321-8:2017を用いて分析することになります2)。
2. EN14372は子ども用品、育児製品、食卓用品や食器の安全試験法で、この中にフタル酸エステルの試験法があります。IEC62321と抽出溶媒が異なりますが、類似した試験方法です。
EN14372の分析結果は、RoHS(II)指令が求める整合規格EN50581に沿った技術文書作成で規定される分析試験結果(EN62321)には合致しませんが、製造者へ材料・部品などにおける物質の含有可能性に訴求する情報としては、十分に法的に活用できます。
EN14372の試験方法を顧客に説明することをお勧めします。
1)J-Net21コラム「RoHS(II)対応のための規格の紹介-その3-その他の関連規格-
2)IEC62321-8:2017