電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2015年6月4日にフタル酸エステル4物質が、RoHS指令の制限物質として追加告示されてから、電気・電子機器の構成部品への移行による汚染が広く懸念され始めました。
フタル酸エステル類の移行による電気・電子機器の構成部材への汚染に関しては、各種団体で数多くの試験が行われ、その結果が公表されています。公表内容に関してはJ-Net21のコラムやQAなどで記載されているので参考にしてください。
公表されている報告書などでは、フタル酸エステル類の移行は金属加工品より、ポリ塩化ビニル(PVC)などの樹脂が中心になります。
アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)は「接触による移行管理ガイダンス」をホームページで公開しています1)。本ガイダンスはフタル酸エステル4物質の移行による意図しない含有を防止するための管理の仕組みを自ら構築するための着眼点を提供することを目的として作成しています。
具体的には温度や時間など移行に影響を与える因子とその影響度合い、そして、工程別の移行を防止するためのガイドラインを記載しています。その中で、金属加工品(無機物)に関しては、フタル酸エステルは無機物には浸透・溶解せず、本ガイダンスで定義した接触による移行を起こさないと記載され、本ガイダンスでは取り扱っていません。
リスクを懸念した顧客から求められた場合、川上事業者としてフタル酸エステル4物質の非含有を証明する必要があります。
非含有を証明する方法としては、CAS(Compliance Assurance System)を構築することで非含有を証明する方法があります。CASとは仕組みで順法を保証するシステムのことです。詳細はJ-Net21の2018年1月12日と2018年8月3日のコラムで解説しています。
CASは整合規格EN50581が求める証拠書類の信頼性の基礎となるものです。
「接触による移行管理ガイダンス」が示すように、自社の品質マネジメントシステムに対して、加工設備、治具そして梱包材にもフタル酸エステルの移行の可能性に留意するなど、汚染を防止する内容を統合することで、フタル酸エステル4物質を含有するリスクの低い製品を製造することが可能となります。