電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
ELV指令の対象は、自動車、廃自動車、構成部品および材料で幅広くなっています。
ELV指令の第4条2(a)により、2003年7月1日以降上市する自動車、構成部品および材料は鉛、水銀、カドミウム、6価クロムの含有が制限されます。新規販売自動車(含む部品材料)の規制です。
最大許容濃度は、カドミウムが0.01wt%(100ppm)、鉛、水銀、6価クロムが0.1wt%(1,000ppm)以下で、RoHS指令と同じ値です。
2003年7月1日前に販売した自動車の修理部品は、2002年6月のELV指令の付属書IIの修正で、Notesに「2007年7月1日まで、第4(2)(a)条の法規から、免除される乗物の部品の修理に限定して新しい交換部品もまた、同じ免除を図られる」とされました。
これにより、ELV指令の適用前に販売された自動車の補修用交換部品は、新規生産部品であっても特定有害物質の含有制限は適用されないことになります。ELV指令の目的は、廃棄される自動車を少なくすることも含まれていますので、RoHS指令同様に、修理による延命には配慮がされます。
中古車の扱いですが、ELV指令では、「再使用」の定義を「廃自動車の構成部品をその想定されたと同じ目的のために使用すること」とし、自動車全体を意図していません。
2002年6月の付属書IIの修正で、Notesに「免除の廃止の日付までにすでに市場にある乗物の部品の再使用は、第4(2)(a)条でカバーされないので、制限なく許可される」となっています。
この規定から、構成部品が適用除外になりますので、中古車も適用が除外されると考えられます。
なお、ELV指令は2005年9月に付属書IIが再修正されています。
修正内容は、除外の移行期間が経過した事項の整理、除外事項の見直しです。例えば、6価クロムについては、防錆処理(Corrosion preventive coatings )が2007年7月1日まで除外が認められ、車台のボルト、ナットの防錆処理(Corrosion preventive coatings related to bolt and nut assemblies for chassis applications)は、2008年7月1日まで除外が認められています。
そのほか、機械加工用アルミ材中の鉛が従来0.4wt%までが除外でしたが、1.5wt%まで拡大されるなどの見直しと修正がされています。
また、特定有害物質の最大許容濃度について、従来は意図的添加でない場合(not intentionally introduced)の条件がついていましたが、修正でこの条件が削除されました。意図的、非意図的の条件なしで、特定有害物質の最大許容濃度が規制されます。