電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
次の2つの視点で対応することが必要と思います。
新規部品採用は、種々のチェックをして採否を決定されたと思いますが、RoHS適合かどうかも品質項目の 一つとして、設計段階から慎重に見極める必要があります。
この段階では、破壊検査も必要になります。均質材料に分けて、蛍光X線装置などで検査し、疑わしい場合は破壊検査などを行い結論を出します。新規部材のサプライヤーが信頼できるサプライヤーであれば、サプライヤーの提出する非含有証明などを使い、自社測定の範囲を少なくすることもできます。
受入検査は、非破壊・短時間で検査する必要があり、部分的な蛍光X線分析、非含有証明書の確認などで済ませることになります。受入検査で確認できない部材については、非含有証明書の有無が重要になります。書類発行元の確認、正式発行されたか否かを確認します(必要であれば破壊試験を実施します)。
加工業者が対象であれば、サプライヤーの工程を把握し、作業要領書を作成して、要領書に従った作業をしたかどうかの検査記録を残し、定期的に監査を行い確認します。
英国法をみますとRoHS指令違反(製品に有害物質が含有していた)に対しては抗弁ができます。
抗弁の要件は、(1)法遵守のために、あらゆる合理的な手段を講じている、(2)法遵守のために、相当な注意をはらった、(3)裁判所の許可により、「他者の行為または不遵守」や「他者の提供による情報に依存」の場合は考慮される、です。
何かあった場合に、抗弁の要件(1)、(2)、(3)を満たしているか要点となります。裁判になった場合に、証拠として採用されるかどうかです。また、英国法では当局から非含有であるとする技術文書の提出命令が出た場合に、28日以内に提出する義務があるため、設計記録(設計審査など)や製造記録が整理されている必要があります。なお、英国法には「製造業者は、上市した電気電子機器の遵法を示す技術文献またはほかの情報を4年間保管するのを確実にするものとする」との条項があります。
リスクマネジメントの立場から、対応をすべて同じとする必要はないようです。
英国が2006年5月に発行した RoHS Enforcement Guidance Documentでは、リスクを考えて対応することを示唆しています。リスクに応じた対応策ができると思います。また、知見からあり得ないようなことまで確認することはありません。例えば、真鍮材中のPBB、PBDEの測定などは、不要になります。