電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
まず、貴社のお客さまが国内企業の場合です。
この場合は、国内外の法律でなく、顧客との取引条件によります。したがって、めっき層全体の総質量をベースにする、あるいは面積当たりの溶出量とするなど、顧客との間で合意ができればよいと思います。合意方法は、売買をするときに、仕様書を取り交わしている場合は、仕様書にサンプリング方法、均質材料の定義や測定方法などを記載しておきます。
多くの大手のセットメーカーは測定法を確立し、調達基準書などで公開しています。測定手順はJIS H8625 附属書IIに準拠した熱水抽出やEPA 3060A に準拠したアルカリ抽出などの例が多いようです。
UK DTIのGuidance Notesや欧州委員会のFAQなどによりますと次のように解釈されます。
「均質(homogeneous)」は、異なる材料へと機械的に分解できない素材で、プラスチック、セラミックス、ガラス、金属、めっき、紙、ダンボール、樹脂、コーティングなどの「全体的に一様な組成」としています。「機械的に分解(mechanically disjointed)」とは、ねじ外し、切断、破砕、粉砕や研磨などにより分離できることです。
例示として、半導体パッケージのリードフレーム上のスズ電気めっきコーティングを掲げています。
2005年12月に発行されたJ-Moss(JIS C 0950)(2008年1月改訂)では、均質材料の例として、「塗装、印刷、めっきなどの単層。また、複層の場合には、それぞれの単層ごとの状態。ただし、複層を分離してそれぞれの単層ごとの数値を求めることが困難な場合には、分離可能な最小単位を均質な単層とみなす」としています。
機械的分離には、化学的作用は含めないと過去のTACで論議されています。めっき層の機械的剥離は難しいのですが、現実は、地金、めっき層、クロメート層が厚さは薄くとも均質材料になりそうです。
日本のセットメーカーは、EUの解釈が確定していないことを受けて、化成処理の順法証明では、亜鉛層の厚み、化成皮膜の厚みを測定し、化成皮膜を分母とした濃度と亜鉛層と化成皮膜の合計を分母とした濃度の2種類を用意しています。顧客などの要求によりコンピュータ・システムから自動的に帳票を印刷する仕組みを導入している企業もあります。
サプライヤーは、各層重量や濃度を把握しておく必要があることになります。