電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令(2002/95/EC)の前文(9)において、「特に廃電池指令(DIRECTIVE 91/157/EEC)を侵害しないように適用される」との記載があります。
一方、廃電池指令(DIRECTIVE 91/157/EEC)は、2006年9月6日付けで改正(DIRECTIVE 2006/66/EC)されています。改正については、このサイトのコラムでも紹介されています。この改正廃電池指令(DIRECTIVE 2006/66/EC)*では、次のように規定されています。
第2条「範囲」の第1項において、「この指令は、形、量、重さ、材料組成または使用によらず、すべての電池(batterys)または蓄電池(accumulators)に適用される。ELV指令(DIRECTIVE 2000/53/EC)およびWEEE指令(DIRECTIVE 2002/96/EC)を侵害しないように適用される。」とあります。
また、第3条「定義」の第1項に「(1)電池(battery)または蓄電池(accumulator)は化学エネルギーの直接変換によって生じる電気エネルギーのいかなる源(ソース)をも意味するとともに、1つないしはそれ以上の電池セルからなる充電式でないもの、もしくは、1つないしそれ以上の2次電池セルからなる充電式のものからなる。」とあります。
そして、第4条に、「禁止事項」として次のように示されています。
3項以下は省略します。
ご質問では「鉛蓄電池はRoHS指令対象外と思います」とのことですが、RoHS指令では「廃電池指令を侵害しないように適用される」となっています。第 3条および第4条から、狭義に解すれば、電池セルについては第4条の禁止事項を遵守すればよく、電池セルでない鉛蓄電池のケースやこれに捺印されていますロゴマークインクなどはRoHS指令に従うと解することもできます。しかしながら、第21条の第1項は、附属書IIで記載されている分別回収を示すシンボルをすべての電池(batterys)、蓄電池(accumulators)または電池パック(battery packs)にマークすることを義務づけています。このことから、社団法人電池工業会では、WEEE指令、RoHS指令および電池指令で定義される「電池」を最終的に消費者に販売される形態であると解釈**しています。このことは、この「電池」自体が廃電池指令の対象となることを意味しています。