電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2つの視点で対応することが肝要と思います。
新規部品採用は、従来からQCDの各項目について種々のチェックをして採否を検討されたと思います。
RoHS適合かどうかも品質項目の一つとして、慎重に見極める必要があります。
このステージでは、破壊検査も必要になります。
均質材料に分けて、蛍光X線でスクリーニング検査、疑わしい場合は、ICP-AES 、ICP-MS 、GC-MS などの湿式分解検査をします。新規部品採用に際して非含有証明が得られなければ、手間隙がかかりますが自ら確認する必要があります。
新規部品の調達先が信頼できるサプライヤーであれば、サプライヤーの提出する非含有証明、定量分析データなどを使い、自社測定の範囲を少なくすることもできます(部位のサンプリング検査などで測定値と提出された測定値との比較など)。
少品種大量生産の場合は、部品についてもサンプリングして新規部品同様に検査します。
一般的に、受入れ検査は非破壊で短時間で行う必要があります。部分的な蛍光X線分析、提出された 非含有証明書、定量分析データの確認などで済ませることになります。
受入れ検査で確認できない部材については、非含有証明書や定量分析データが信頼できるかの確認が重要になります。
書類発行元の確認、分析機関の確認、分析手法、分析フローチャートなどを確認します。
調達先が零細な企業、特に加工業者が対象であれば、加工業者の工程を把握し、重要な工程について作業要領書を作成させ(または作成して渡し)、要領書に従った作業を徹底させるようにします。納品前に要領書に従った作業をしたかどうかの検査記録を残させます。また、この取引加工業者の管理状況を、定期的に訪問し確認する必要があります。
UK国内法を見ますと、法令違反(製品に有害物質が含有していた)に対しては抗弁ができます。
何かあった場合に、抗弁の要件を満たしているかは、上記(a)、(b)がポイントになります。裁判になった場合に、証拠として採用されるかどうかです。
また、当局から非含有であるとする技術文書の提出命令が出た場合に、28日以内に提出する義務があります。したがって、設計記録(設計審査など)や製造記録が整理・保管される必要があります。記録は4年間保管する必要があります。
上記を考慮しますと、相当な負荷になると思います。上記の対応をすべて同じにする必要はないようです。
UKが2006年5月に発行した RoHS Enforcement Guidance Documentでは、リスクを考えて対応することを示唆しています。
貴社のリスクが高い部材についてはそれなりの対応をし、そうでないものは軽い対応をすることができると思います。
また、知見からあり得ないようなことまで確認することはありません。真鍮材中のPBB、PBDEの測定などは不要になります。