2009年7月24日付けコラムで報告しましたように、2009年5月4日〜8日にスイスジュネーブで開催されました「POPs条約第4回締約国会議(COP4)」 において新たに附属書に追加されることが決定された9物質を化審法の規定(第2条第2項) に基づいて「第一種特定化学物質」に指定するよう中央環境審議会から環境大臣に対して答申がなされていました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11316&mode=print
上述の答申に対し、平成21年9月3日から10月2日までにパプリックコメントの聴取を行う等をした上で、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」(以下「法律施行令改正政令」) 等が同年10月27日に閣議決定され、10月30日に公布されました。
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=11703&mode=print
以下、法律施行令改正政令の概要を記します。
- 第一種特定化学物質として、新たに12物質を追加指定 (令第1条)
POPs条約第4回締約国会議(COP4) において新たに附属書に追加されることが決定されたPFOSまたはその塩等9物質を12物質として追加(表1参照)。
- 第一種特定化学物質を使用した輸入制限製品の指定(令第3条)
今回追加する第一種特定化学物質が使用されている14製品を追加(対象となるのはPFOSまたはその塩、テトラブロモジフェニルエーテルおよびペンタブロモジフェニルエーテルの3物質使用製品のみ)。
- 第一種特定化学物質を使用できる用途(令第3条の2)
代替が困難で、人の健康や動植物の生育等に被害を生ずるおそれがないとして、例外的に第一種特定化学物質の使用が認められる用途として、PFOSまたはその塩を使用する以下の3用途が指定されています。
(1)エッチング剤(圧電フィルムまたは無線機器が3MHz以上の周波数の電波を送受信することを可能とする化合物半導体の製造に使用するものに限る)の製造
(2)半導体用のレジストの製造
(3)業務用写真フィルムの製造
- 基準適合義務および表示義務が課せられる製品の指定(令第3条の3、附則第3項)
第一種特定化学物質の例外的な使用による環境汚染を防止するために、基準適合義務および表示義務が課せられる製品として、3項に記載のPFOSまたはその塩の使用が認められている以下の製品に指定されています。
(1)エッチング剤(圧電フィルムまたは無線機器が3MHz以上の周波数の電波を送受信することを可能とする化合物半導体の製造に使用するものに限る)の製造
(2)半導体用のレジストの製造
(3)業務用写真フィルムの製造
さらに、附則第3項において、過去にPFOSまたはその塩を使用した製品で現在も大量に備置されていて、直ちに代替することが困難な1製品(消火器、消火器用消火薬剤および泡消火薬剤)を指定。
- 第二種特定化学物質を使用した技術上の指針を公表する製品の指定(令第5条)
現行法では、第二種特定化学物質が使用されている製品の容器等に表示義務が課されていますが、今回の法改正により、第二種特定化学物質が使用されている製品の取扱いに係る技術上の指針を主務大臣が公表することになりました。これを受けて、技術上の指針を公表する第二種特定化学物質が使用されている製品として、現在、表示義務が課されている11製品が指定されています。
- 施行期日
(1)平成22年4月1日施行(既述の1、3および5項)
(2)平成22年5月1日施行(既述の2項)
(3)平成22年10月1日施行(既述の4項)
表1 第一種特定化学物質として新規追加指定された12物質
物質名 |
POPs条約 |
化審法 |
テトラブロモジフェニルエーテル
ペンタブロモジフェニルエーテル |
附属書Aへの追加 |
令第1条 25 |
令第1条 26 |
クロルデン |
令第1条 23 |
ヘキサプロモビフェニル |
令第1条 24 |
リンデン |
令第1条 22 |
α-ヘキサクロロシクロヘキサン |
令第1条 20 |
β-ヘキサクロロシクロヘキサン |
令第1条 21 |
ヘキサブロモジフェニルエーテル
ヘプタブロモジフェニルエーテル
|
令第1条 27 |
令第1条 28 |
ペルフルオロオクタンスルホン酸 (PFOS) とその塩
ペルフルオロオクタンススルホン酸フルオリド (PFOSF)
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附属書Bへの追加 |
令第1条 17 |
令第1条 18 |
ペンタクロロベンゼン |
附属書A、Cへの追加 |
令第1条 19 |
(瀧山 森雄)