EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則での、登録義務者について最初に整理しておきます。原則、REACH規則では、EU域内の製造者、輸入者に登録義務があり、EU域外の製造者は直接登録することはできません。もし、EUの輸出先が登録しない、または、登録を任せられないときには、EU域外の製造者は、「唯一の代理人」を任命して、登録を依頼し、輸出ができることになっています。
ご質問では、現在貴社は、EUの複数の輸出先に、調剤中のどの原材料物質も年間1t以下で輸出されているとのことなので、輸出先(EUの輸入者)は登録の義務はありません。将来、輸入先で1tを超える場合には、その輸出先(輸入者)は登録をする必要があります。この場合、段階的導入物質であれば、予備登録と同じ書類を提出すれば、登録までの期限が猶予されます。
しかし、このように将来、1t以上になった輸出先が、登録をしないとなった場合には、貴社が登録していなければ、その後、その輸出先(輸入者)への輸出ができなくなります。
また、1社が1tを超えた時点で「唯一の代理人」を任命して登録することは難しいと考えます。
その理由は、「唯一の代理人」を任命して、登録する場合は、貴社の輸出量を合計することになります。すでに、総計で10t程度輸出しておられますので、「唯一の代理人」は1tを超えた輸出実績があることになりますから、すでに、予備登録・登録をしていなければならないことになります。
したがって、輸出先が登録する意思があるか確認しておくことが必要と考えます。もし、すべての輸出先が登録する意向をもっていれば、貴社は登録する必要はありません。もし貴社が登録しないで、かつ、輸出先で登録しないのであれば、その輸出先へは1tを超える時点で、販売できないことになります。
将来ともに、現在のビジネスを継続し、発展させる方針でしたら、リスク回避のために、予備登録・登録されることをお勧めします。
予備登録は、2008年6月1日からすでに開始され、期限は2008年12月1日までです。この予備登録を行なうことで、登録の期限が物質の性状や年間の輸出量により、最長で2018年5月31日まで猶予されます。
貴社が、唯一の代理人に予備登録を依頼される場合、唯一の代理人への依頼が混み合う可能性がありますので、早めに対応されることをお勧めします。
予備登録につきましては、コラム「2007/03/16、REACH規則の予備登録は何をするのか?」をご参照ください。
なお、今後も貴社の原材料の購入先が登録をしないという場合、登録を行う企業に変更するという可能性も考えられます。