電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2007.07.20
最近の、RoHSとREACHに関わるEUの新しい動きを2件紹介します。
2007年1月10日締め切りでRoHS指令の除外項目に関する第6回目の意見募集が行われました(2006年12月1日、本コラム参照)。この除外申 請に対する最終結論はまだ出ていませんが、新たに2007年8月10日締め切りで、7項目の除外の第7回目の意見募集が行われています。詳細は下記URL を参照下さい。
http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_7_consult.htm
その中で、6番目の、High voltage diodes in glass housings(ハウジング中の高電圧ダイオード)がどのように扱われるか興味があります。
申請概要は、下記のようになっています。
除外が認められている2.5%の鉛を含有する硼酸亜鉛ガラスハウジングの高電圧ダイオードをスズでめっきすると、めっき層に鉛が溶解し、めっき層の鉛濃度 が、3,000ppmであるが、最高許容濃度の1,000ppmを超える(平均1,500~2,500ppm)。めっきに際して鉛は添加していない。銅製 ピンとガラスハウジングの膨張係数を合わせるには、ガラス中の鉛は必須で、代替材料はない。このため除外の申請をする。
RoHSでは、均質物質に対して最高許容濃度が決められています。受け入れで、出発物質のRoHS順守を徹底していても、加工段階で除外が認められている材料により、ほかの材料が最高許容濃度を超えてしまうというケースの場合の扱いはたいへんになるところです。
今回のケースは特異なケースとは考えられますが、除外が認められている材料を使用する場合には、製造工程管理には十分注意しなければならないと考えます。
REACH規則では、分類、表示に関しては、GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals:化学物質の分類・表示の国際調和システム)の導入が遅れ、指令67/548/EEC、指令1999/45/ECが継続し運用されるこ とになっていますが、2007年6月25日にEU委員会からGHS導入の規則案(以下、新規則)が発表されました。
従来のEU指令と新規則とでは、ほとんどの物質に関して分類は同じだが、カットオフ値と計算方法が異なるため、調剤(混合物)は新規則、すなわちGHSで分類されることになります。
これから、理事会と議会で審議されますが、これが採択されますと、GHSシステムへの移行のスケジュールは次のようになっています。
なお、GHSに関しては、2007年3月9日の本コラムもご参照下さい。
(担当:林 譲)