電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2007.07.27
近年のEUをはじめとする製品含有化学物質の管理規制の国際的潮流への対応が国際競争力強化に欠かせないものとなりますが、日本においてもアーティクル (成形品) が含有する化学物質などの情報を適切に管理し、サプライチェーンの中で、円滑に開示・伝達するための仕組みをつくることが必要であるとの認識にたって、こ の理念に賛同した17の企業が発起人となって2006年9月に業界主導でアーティクルマネジメント推進協議会 (通称:JAMP) が設立されました。( http://www.jamp-info.com/ )
JAMPの設立の背景および趣意の概要を以下に要約します。
1992年に開催された国連環境会議で採択された「アジェンダ21」は21世紀に向けて人類が地球上のほかの生物とともに繁栄を続けていくために必要な行動計画をあらゆる分野にわたり具体的に示したものです。
その第19章に「有害かつ危険な製品の不法な国際取引き防止を含む有害化学物質の環境上適性な管理」が要請されています。10年後のヨハネスブルグ環境サ ミットでも、アジェンダ21の考え方が再認識されました。これらを背景として、EUでは、化学物質の管理・規制に関する基本政策の整備が進み、関連法令の 見直しや新設が行われてきています。
新しいところでは、電気電子製品に含まれる有害化学物質の使用を制限する指令 (RoHS指令) の施行 (2006/7) やエネルギー使用製品のエコデザイン要求に関する指令 (EuP指令) や年間1t以上の化学物質を製造および輸入する業者に対して登録や必要に応じて化学物質の使用用途ごとにリスク評価を義務付けるREACH規則が 2007/6に施行されています。
以上のような近年の法令要求の特徴は、サプライチェーン全体にかかわる管理や情報公開を求める動きが顕著になってきています。これらの動向は、EUにとど まらず日本はもとよりアメリカ、中国などにおいても同様で、それぞれ製品含有化学物質の管理、規制などの法令の整備が進められています。
上記の国際的な潮流へ対応し、的確で迅速な対応を講ずることにより、これまで以上に国際的な競争力確保が不可欠なることを踏まえ、日本の産業界においても、以下の観点からの円滑な対応の実施が必要となっています。
電気・電子や自動車などの組立て型製品にかかわる国内産業界では、RoHS指令、ELV指令、J-Mossなどへの対応の必要性から、特に、サプライ チェーンの川下に属する企業のイニシャチィブで、調達資材が含有する化学物質情報を調査および回答する仕組みを構築する動きが部分的に見られます。
しかしながら、日本の産業構造を見ると、原材料の製造から完成製品の最終組立てに至るまで多岐にわたるサプライチェーンが構築されており、関連する化学物 質の情報の調査および回答が適切に行えない状況が危惧されます。このような状況を踏まえ、上流の化学物質メーカーから中流の素材・部品メーカー、そして下 流の組立てメーカーが自ら使用・販売する化学物質や含有製品などについて互いに情報の管理や円滑な開示がなされることが、喫緊の課題となっています。
さらに、経済産業省産業構造審議会化学・バイオ部会リスク管理小委員会製品含有化学物質情報伝達ワーキンググループにおいて2006年4月に、化学物質情 報を管理・推進するための除法伝達フォーマットの統一化促進や中立的な立場での仕組みなどの運用並びに普及のための国際標準化など「製品含有化学物質伝達に係る基本的指針案」をとりまとめ公表されたことも、JAMP設立の誘因、促進となったようです。
JAMPの規約は16条の規約と付則で構成され、事務局は社団法人産業環境管理協会 (東京都千代田区神田) に設置されています。
<設立の目的>
設立の目的は、化学物質管理の国際的な潮流やサプライチェーンにおける情報の管理および円滑な開示を促進し、わが国の産業の環境への積極的な対応による 「ものつくり」基盤の強化を通じた国際的な競争力確保とアジア諸国を含めた製品含有化学物質の適切な管理の実現に寄与することを目的として設立されました。
<活動の目的>
規約第2条に基づき、サプライチェーンにおける製品含有化学物質の適切な管理および円滑な情報の開示を促進し、もって産業の国際的な競争力確保に寄与することを目的としています
<主要な活動計画>
(担当:瀧山 森雄)