電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2008.05.23
4月11日の当コラムで樹脂中Deca-BDEの除外決定の無効判決についてお知らせしました。判決はEU委員会のDeca-BDEの除外決定の手続き不備により、2005年10月15日の決定を無効としたものです。
判決文では、Deca-BDEの有害性を認めて除外を無効としたものではありません。独立行政法人製品評価技術基盤機構の化学物質の初期リスク評価書でも、「デカブロモジフェニルエーテルは経口投与された場合、そのほとんどが未変化のまま糞中に排泄される。尿への排泄は0.1%以下、長期間投与しても各器官への蓄積はほとんどみられていない。」としています。
BSEF Japanのホームページでは、「Deca-BDEの安全性、その裏付けとなる科学的事実に関し疑義が生じたものではありません。裁判所は、同時に、本除外措置の継続を本年6月末日まで認めましたので、EU委員会は、早急に対策を講ずるものと思われます。」と声明を出しています。
アメリカでは、州法でBDE規制をしていますので、州によりさまざまな規制になっています。
日本企業の調達基準をホームページなどで調べますと、EU指令のままの基準だけでなく、すでにDeca-BDEを含めて規制対象としている企業もあります。
EU委員会の手続き上の不備で無効判決がでたもですから、再手続きをして除外をすることもありますし、国内法が追従しないこともありえます。
このようなEU域内外の法律の状況や企業資材調達基準などの動向を踏まえて、企業対応はリスクマネジメントの視点で検討する必要があります。
6月30日まではDeca-BDEの使用が許され、7月1日以降から含有が禁止されます。短期的には、6月30日までにEUで販売するものは通関させておき、7月1日以降は、Deca-BDEは使用しないことがリスクを低くする対応になります。
同時に、製造記録をきちんと整理しておき、6月30日までの製品または7月1日以降であるかが分かるようにしておくことも必要になります。
長期的には、Deca-BDEは徐々に禁止される可能性が高いと思われます。製品開発段階の案件では数年かかりますので、販売時点での規制内容を想定した企業支援を求められます。
(松浦 徹也)