電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2014.07.11
本コラムでは、前回、前々回に引続き改正WEEEのFAQの内容を紹介します。
今回はFAQの第8章から第11章までを対象としており、前の2回分と合わせて全3回でFAQの紹介は完結です。
8. ユーザーおよび処理施設のための情報(第14条および第15条)
8.1 ある加盟国市場に上市される時にEEEがマークされている場合、このEEEが加盟国間で取引される時には再マークされなければならないか?
いいえ。EEEが加盟国市場に上市される時、製造者(またはこのサプライチェーンのあらゆる協力者)がEEEにマークし、当該EEEが他の加盟国と取引される場合には、第14条(4)および第15条(2)で要求される情報は既に当該EEEには存在しているので他の加盟国においてEEEにマークする責任ある者(例えば、生産者)は再マークする必要はありません。
もし、EEEの製造者 (またはサプライチェーンのあらゆる協力者)がある加盟国市場に上市する際そのEEEにマークしていなくて、当該EEEが他の加盟国に取引される場合は、他の加盟国のEEEをマークする責任ある関係者はそのEEEにマークしなければなりません。
9. 認定代理人(第17条)
9.1 生産者はある加盟国に設立される代わりに認定代理人を任命する権利を持っているか?
はい。第17条(1)により、第3条(1)(f)(i)~(iii)で定義される他の加盟国で設立されている生産者は第3条(1)(f)(i)~(iii)の例外により、加盟国内に設立されている法人または自然人を加盟国における当該生産者の義務を履行する責任を負う認定代理人として任命することを加盟国は確実にしなければなりません。
これを説明するために、他の加盟国 (MS2)の1つ以上の会社 (例:X社、Y社)にEEEを販売している加盟国(MS1)に設立されているA社の場合を考えてみます。
第17条(1)により、MS2はA社に対して、MS2におけるA社の義務を履行する責任を持つ認定代理人を任命することを許可しなければなりません。これはA社がMS2に上市した数量に対し、当該認定代理人がその義務(例:登録、スキームに対する報告等)の履行に対する責任があることを意味します。
またX社、Y社はこれらの数量を宣言する必要はなく、これらの数量に関する生産者責任を持っていないことを意味します。もし、MS2においてA社が認定代理人を任命しないなら、X社、Y社は〔第3条(1)(f)(iii)によりMS2における生産者として〕MS2における生産者責任を負います。
第3条(1)(f)(iv)に定義される生産者に関しては、指令第17条(2)は生産者が設立されている加盟国に対し、当該生産者が遠隔通信手段により設立のない加盟国においてEEEを販売する場合に、当該加盟国での生産者としての義務の順守のため認定代理人を任命することを確実にしなければなりません。
第三国に設立されている第3条(1)(f)(iv)の意味における遠隔販売者は、EEEを販売する加盟国に登録されなければなりません。販売する加盟国にそのような生産者が直接登録されない場合は、認定代理人を通じて登録されなければなりません。
10. 査察と監視(第23条)
10.1 第23条(2)は加盟国が中古EEEのすべての輸送に対し、付属書VIで基準 (the criteria)を課さねばならないことを意味するか?
いいえ。第23条(2)に基づいて加盟国は、中古EEEの輸送がWEEEの輸送の疑いがある場合にのみ付属書VIの要求を適用することが要求されます。輸送に対する最低要求は中古装置の法的取引を妨げるべきではありません。輸送が廃棄物の事実上不法な輸送である疑いがある場合、付属書VIは加盟国に事態 (状況)を証明するための法的な手段を与えます。
例えば、中古EEEの不適切な包装のために疑いが生じ得る。輸送中、積上げおよび積下し操作中の損傷から対象物を保護するための包装が不十分であれば、対象物が廃棄物であるかもしれないことを示します。適切に包装されている中古EEEはそれ故にWEEEである疑いはあり得ません。
10.2 第23条(2)は同様に加盟国間の中古EEEの輸送に適用されるか?
はい。第23条(2)は中古EEEのEUからおよびEUへの輸送および加盟国間の輸送の両方に適用されます。
10.3 たとえ中古EEEがWEEEだと疑われるとしても、WEEEでないことが証明される場合、生産者/輸送に責任ある個人は貯蔵コストをチャージされ得るか?
はい。指令第23条(3)は、疑われている中古EEEがWEEEであることが証明されたかどうかに関わらず、加盟国に生産者またはその代行をする第三者もしくは輸送をアレンジする他の人物に対して分析、検査および貯蔵コストをチャージすることを認めています。
11. 輸送に対する最低要求(附属書VI)
11.1 中古EEEの保持者(holder)は常にこのEEEの所有者(owner)であるか?
いいえ。附属書VIポイント(1)は、中古EEEを輸送することを意図するまたは輸送している対象物の保持者(holder)について言及しています。附属書VIのポイント(1)(c)および(5)は、輸送をアレンジする保持者に言及しています。
物品の保持者は中古EEEを(直接的にまた間接的に)所有する自然人または法人であるが、必ずしも中古EEEの法的な所有者(owner)ではありません。
11.2 輸送、積込/積下し中の損傷に対する適切な保護は積荷の十分な包装と適切な積重ね(スタッキング)の両方を要求するか?
はい。中古EEEが再使用の意図の下に輸送(ship)される時には、それは十分な包装と適切な積重ね(スタッキング)の両方を通じて適切に保護されることが期待されます(新製品の輸送に対する場合と同様の保護)。
11.3 附属書VIポイント2(a)のコンテクスト(文脈)における保証の意味は何か?
附属書VI〔ポイント2(a)〕の文脈においては、「保証(Warranty)」とは消費者製品の販売に関する装置の適合性の不足(欠陥)に対する消費者に対する製品の国家法令の下での義務(obligation)、あるいは、もしそれが保証書(guarantee statement)または該当する宣伝(relevant advertising)において規定されている仕様に適合していない場合、販売者または生産者による当該装置の修理または交換するためのあらゆる記述された合意の何れかであると考えることができます。
例えば保証には、指令1999/44/ECにおける法的および消費者保証およびEEEに関係する(involving)BtoBの取引に関連している製造者および販売者により供給される保証が含まれます。その用語はまた販売、サービス、メンテナンスおよび修理合意書の文脈において請け負われる、例えば拡張された保証または義務のような追加的な契約請負をも包含します。
11.4 輸送される中古EEEがリース契約となっている場合、附属書VIのポイント2において言及される要求からの緩和は適用されるか?
第3条(1)(e)のWEEEの定義によれば、EEEはその所持者(holder)がEEEを処分するまたはEEEの処分を意図するまたは処分することを要求される時にWEEEとなります。
有効なリース契約下およびリース業務の中で職業ベースで従事している人物により輸送される中古EEEは、所持者がそれを処分することを意図しない限りWEEEではありません。
それ故そのようなEEEは、当該中古EEEが更なる使用を予定されないことを信ずる他の理由(例えば積荷の不十分な包装や不適切な積み方)がなければWEEEであることを疑われることはありません。
11.5 附属書Ⅵポイント2(b)における緩和が適用されるのはどのようなケースか?
附属書VIのポイント2(b)は、再使用の意図を持って明確な契約下でリファービッシュ、または修理のために送られる職業用途のEEEで以下に対し送付されるものに適用されます。
の改版に関するOECD議会の決定C(2001)107/Finalが適用される国の第三者施設
11.6 その責任に関する信頼できる人物による宣言の目的は何か? この宣言はどのような形式を取るべきか?
信頼できる人物による附属書VIのポイント4(b)に言及されている責任に関する宣言の目的は、附属書VIの要求に関連して輸送に対する法的な責任を負うべき自然人または法人を特定することです。
信頼できる人物は輸送をアレンジした人です。例えば宣言は、附属書VIポイント1(c)において要求される宣言に適切なテキストを加えることにより作成することができます。
11.7 対象物が中古EEEであることを証明するために附属書VIポイント5に言及されるすべての情報を持つことが必要か?
いいえ。ポイント2の緩和の1つによってカバーされる中古EEEの輸送はポイント1(a)、1(b)およびポイント3の文書を伴っている必要はありません。附属書VIのポイント5の文言は、附属書VIポイント2の緩和の1つに従って中古EEEの輸送を行う時に要求されない文書を追加的に要求するように誤解されることがあり得ます。
11.8 指令の適用範囲から除外されているEEEは、輸送時に付属書Ⅵの要求に適合しなければならないか?
いいえ。指令の適用範囲から除外されているEEE(例えば欠陥のある大規模固定産業用工具や大規模固定装置)は附属書VIの輸送に対する最低要求の対象ではありません。
(瀧山 森雄)