電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
改正前のELV指令(2002年6月改訂 2002/525/EC)の脚注では、意図的添加でない(not intentionally introduced)場合は、均質物質中の最大許容濃度は鉛、六価クロム及び水銀は0.1重量%、カドミウムは0.01重量%と記述されていました。
意図的添加の説明として、「最終製品に特定の特徴、外観もしくは質を提供するために、継続的な存在が要求される材料や部品が組織として計画的に利用された ことを意味する」としています。
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2002:170:0081:0084:EN:PDF
これが、2005年9月30日の改正(2005/673/EC)で「not intentionally introduced」の用語がなくなっており、意図的、非意図的を問わず規制されることになりました。
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/site/en/oj/2005/l_254/l_25420050930en00690072.pdf
RoHS指令案の検討段階で、当時のELV指令(2002/525/EC)の「not intentionally introduced」の記述を入れさせないロビー活動を協力に展開したようです。「not intentionally introduced」という意味は、「意図的添加は1ppmでも許されない」ことになり、6物質の含有があった場合に「意図的」「非意図的」の区別を誰がどのように判定するか、サプライチェーンの上流で入った場合の責任などの論議がされました。
一方で、日本のセットメーカーは、リスクマネジメントでロビー活動は進めつつも、自社の調達基準は当時のELV指令に合わせて意図的添加を認めない基準としていました。
RoHS指令の最大許容濃度は2005年8月19日に告示されましたが、「not intentionally introduced」の用語は入っていませんでした。その後、2005年9月30日のELV指令の改正(2005/673/EC)で「not intentionally introduced」の用語が削除されましたが、調達基準を変更した企業もありますが、変更せずにそのままの企業もあります。
EUの規制の本質は、特定有害物質は1000ppmまで含有させてよいのではなくて、不純物などで混入した場合は1,000ppmまでなら許容するものです。
「not intentionally introduced」が基本であることは変わらないともいえます。