2008年12月3日、WEEE指令およびRoHS指令の改正提案文書が公開されました。主な変更点の概要を解説します。
- RoHS指令対象品の特定
現行RoHS指令の対象製品は、WEEE指令の附属書IAの医療機器、監視および制御機器を除いた8つの製品群です。
改正提案RoHS指令では、附属書I(現行WEEE指令の附属書IAに相当)で医療機器(カテゴリー8)と監視および制御機器(カテゴリー9)を含めた10製品群を特定し、付属書II(現行WEEE指令附属書IBに相当)で品目を特定しています。
- 規制対象有害物質と優先評価対象物質、適用除外用途
改正提案RoHS指令では、新規の規制対象有害物質の追加はありませんが、優先的に評価する物質として4物質が挙げられました。
特定有害物質の除外用途は附属書V(31項目)に記載され、新たにカテゴリー8および9の特有の適用除外が附属書VI(20項目)に記載されています。附属書V、VIの除外条件は最長4年間で、更新は継続決定の手続きで行われます。
- CEマーキングの導入
改正提案RoHS指令で生産者(輸入者)の義務として、新たに附属書VIIによる適合宣言書の提出とCEマークの貼付が追加になりました。
CEマーキングのためにはEU議会決定678/2008/ECで定められたモジュールA(内部生産管理)により適合宣言をします。適合製品にCEマークを貼付することでEU域内の流通が自由になります。医療機器については、医療機器指令によりすでにCEマーキングは実施されています。
- 医療機器(カテゴリー8)と監視および制御機器(カテゴリー9)の適用開始日
改正提案RoHS指令では、カテゴリー8および9を適用範囲に含めますが、特定有害物質の非含有義務の適用時期は段階的になっており、以下の適用開始日以降に上市される機器に適用されます。
2014年1月1日 医療機器および制御機器
2016年1月1日 体外診断医療機器
2017年1月1日 工業用監視・制御機器
能動型植込医療機器は当面除外とし、2020年に見直しを行うとしています。
医療機器とは指令93/42/EECの定義に含まれる医療用の機器、体外診断医療機器とは指令98/79/ECの定義に含まれる診断用の医療機器です。
また、補修用スペアパーツや機器の再利用については、適用開始日より前に上市した機器には適用しないことになっています。
ご質問の歯科医療機器は、カテゴリー8の医療機器に該当すると思われますので、改正提案RoHS指令は2014年1月1日の適用開始日以降から上市する歯科医療機器に適用されます。つまり特定有害物質の含有規制、RoHS指令の適合宣言書の提出、CEマークの貼付等が必要になります。
一方、適用開始日より前に上市した歯科医療機器には改正提案RoHS指令は適用されないことになります。
改正案については理事会、欧州議会で審議されており、最近(2009.9.3)になって理事会から附属書I、附属書IIを撤廃し、交流1000v、直流1500v以下のすべての電気・電子機器を対象にする修正案が出されています。ただし、カテゴリー8および9の適用時期については修正が出されていませんので、改正提案RoHS指令のままとなっています。
なお、改正提案RoHS指令については2008年12月19日付けコラム、CEマーキングについてはQ&A200をご参照ください。