電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令付属書の適用除外項目が、2010年9月24日の委員会決定(2010/571/EU)により改正され、除外No.8は以下のように2分されて定義されています。
8(a)Cadmium and its compounds in one shot pellet type thermal cut-off
8(b)Cadmium and its compounds in electric contacts
すなわち、見直しによって製品へのカドミウムめっきの除外は削除されています。
ちなみに、改正前のNo.8は「特定の危険物質および調剤の販売と使用の制限を規定した76/769/EEC指令の修正指令91/338/EECで禁止されている用途を除く電気接点およびカドミウムめっきに含まれるカドミウムとその化合物」となっていました。
したがって、ご質問のサーマルプリンタに対してカドミウムめっきはRoHS指令の除外は適用されません(均質材料あたりの濃度限界は、0.01wt%)。
指令76/769/EEC(91/338/EEC)は、廃止され、2009年6月22日の委員会決定(Commission Regulation(EC)No 552/2009)により、REACH規則附属書XVII(危険な物質、混合物及び成形品の上市と使用の制限)に吸収されました。
(2010年5月14日付け「ここが知りたいREACH規則」Q&A223をご参照ください)
当該、委員会規則(EC)No 552/2009の23項にカドミウムに関する記載があり、その5節、6節および7節にCadmium Platingの関連する記載があります。それによりますと、Cadmium Platingとはめっきではなく、金属カドミの析出による付着またはコーティングです。
5節と6節では、Cadmium Platingされた成形品や成形品の部品の上市と販売を制限していますが、7節では、以下の場合にはその制限は適用されないとの規定となっています。
以上をまとめますと、ご質問の貴社のサーマルプリンターの構成部品などに対するRoHS指令のカドミウムめっきの適用除外は直近の見直しで廃止されています。REACH規則附属書XVIIの上市および販売の制限に関しては、上述の5節および6節で制限対象の装置、機器のHSコードが規定されていますので、ご参照のうえ貴社サーマルプリンターの上市と販売の制限の有無を判断されることをお奨めします。