電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
カーボンナノチューブが欧州議会・環境委員会により禁止物質に挙げられたのは、6月2日に提案された修正案(Amendment88、AnnexIV)によります。その修正案で追加された制限物質は以下記の2項目です。
(1)ナノシルバー(Nanosilver)
(2)長繊維状多層カーボンナノチューブ(Long multi-walled carbon nanotubes)
提案では、カーボンナノチューブであっても短繊維状や単層のものは該当しないということになります。ただし、長繊維状多層である場合はwt%として制限されているのではなく、「検出限界(以下)」と厳しく制限されていますので注意が必要です。
また、同文書中においてカーボンナノチューブの適用除外項目は記載されていません。従来と同じく、代替技術が「科学的、技術的に利用不可能」「信頼性や有用性が限定的」である場合などに、技術的論拠を明確にした申し立てをうけて例外的処置として適用除外が認定されますので、改正指令成立後の動きを見守る必要があります。
なお、この修正案に関してはQ&A237もご参考ください。
同修正案は関係者によってさまざまな議論がなされており、日刊工業新聞社・Business Lineの11月16日付けでは「カーボンナノチューブRoHS規制見送り」との報道もされていました。執筆時点で欧州委員会、欧州議会のWEBページでの確認はできていませんが、本会議において11月22日に審議、24日に投票がなされ、その後理事会の審議、合意を経て法案の成立となります。
2008年12月から継続されていた改正案の審議もいよいよ終盤ですので、動きから目を離さないことが必要だと考えます。