電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では、カドミウムの製品含有量について、均質材料あたりの最大許容濃度を0.01wt%以内にすることが求められています。附属書で一定用途の製品含有の除外が認められていますが、ご質問の亜鉛を含む材料中のカドミウムについての除外は認められていません。
ご質問の亜鉛を含む材料へのカドミウム含有については、亜鉛鉱に、カドミウムが不純物として1%程度含まれており、亜鉛とカドミウムの性質が類似しているため、不純物であるカドミウムを完全に分離するのは難しい面があります。また、再生亜鉛にもカドミウムが含有し、含有量のバラツキが大きいとされています。
真鍮やアルミニウム合金等、亜鉛を含む材料については、亜鉛の含有率や再生亜鉛の利用の有無によってカドミウム含有に対するリスクが異なります。
亜鉛の含有率が高い真鍮(一般的に30~40%程度)の場合は、すでに各メーカーからRoHS指令に対応した製品が提供されています。
その他アルミニウム合金等にも亜鉛は含まれていますが、
・アルミダイカスト(ADC12):~1.0wt%
・アルミ鋳物(AC4A):~0.25wt%
等、亜鉛自体の含有率が低いため亜鉛の不純物であるカドミウムの含有率も微量であると想定されます。
このように亜鉛を含む材料中のカドミウムに対するRoHS指令対応は、亜鉛の含有率や再生亜鉛の利用の有無によってそのリスクは異なり、亜鉛自体の含有率が低ければ、不純物であるカドミウムの含有リスクは小さいものと考えます。
亜鉛含有率の高い真鍮と同様程度の厳密な管理は必要ないものと思われますが、その他の亜鉛を含む材料についても試験データの添付あるいは非含有証明書の提出等サプライヤー管理を実施するなど、万一の場合に備えることは必要であると考えます。