電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では原則として0.1wt%以上の鉛を含む電気電子機器の上市を禁止していますが、ご指摘の合金中の鉛に関しては適用除外用途として0.1wt%を超えた含有が認められてきました。この適用除外については2011年7月21日に発効した改正RoHS指令(2011/65/EU)でも付属書IIIに整理されており、内容としては2010年9月25日の委員会決定(2010/571/EC)と同様のものになっています。すなわち、
6(a) 合金成分として、機械加工用鋼材および亜鉛メッキ鋼に含まれた0.35wt%までの鉛
6(b) 合金成分として、アルミニウム材に含まれた0.4wt%までの鉛
6(c) 銅合金に含まれた4wt%までの鉛
の3点がご質問に関する項目です。今後、適用除外の解除等変更がある可能性もあり継続して注意を払うことが必要にはなりますが、現状では従来からの変更はなく上述の範囲で適用除外用途とされています。
これらの適用除外は、「禁止物質の除去、代替が科学的・技術的に不可能である」「代替品の信頼性がない」「代替品に起因するマイナスの影響が便益を上回る」場合に認められていますので、科学と技術の進歩に適合させていくことが第5条で規定されています。そのため見直されることもあると同時に、その2項では当該付属書IIIでの除外の最長有効期間が、
とされていますのでご留意ください。
また、改正RoHS指令(2011/65/EU)では、公示後18カ月以内(2013年1月2日まで)にEU加盟各国が国内法の整備を行うことにより実質的な義務が生じます。国内法の整備時期は加盟各国によりばらつきがあると思われますが、余裕を持って対応を済ませておく必要があります。
今回は特定の適用除外用途についてのご質問でしたが、改正RoHS指令には対象となる製品範囲の拡大、適合宣言書の整備義務、CEマーキングの表示義務など留意すべきポイントがいくつかあります。2011年7月8日付けコラム、7月15日付けコラム、9月16日付けコラムにて詳細を説明しているほか、個別のQ&Aでもたびたび取り上げられていますので、整理のためにも再度確認されることをお勧めします。