ベトナム商工省は8月10日、「電気電子機器中に含まれる有害化学物質の最大許容濃度に関する通知」(Circular No.30/2011/TT-BCT)を公布しました。いわゆるベトナム版RoHSと言われるものです。
そして9月16日に上記通知を一部修正する決定(Circular No.4693/QD-BCT)が公布され、「2012年12月1日以降、製造者および輸入者は特定有害物質の含有許容濃度を順守する」ということが新たに加えられました。
本通知は9月23日から適用され、2012年12月1日以降、製品取扱説明書への記載など規制対象物質の含有に関する情報の開示が求められます。
ベトナム版RoHSの概要は以下の通りです。
- 適用範囲(第1条)
ベトナムに上市される電気電子機器が対象ですが、以下のものは除かれます。
- a.電気電子部品、電池
- b.修理、再利用またはアップグレードのためのスペアパーツ
- c.ギフト品、記念品、展示品やサンプル品、手荷物品、保税品など。
- d.本通知の発効日前に市場に上市されている電気電子機器
- 対象製品カテゴリ(第4条)と製品例(附属書2)
- (1)大型家庭用電気製品(冷蔵庫、洗濯機、電子レンジなど)
- (2)小型家庭用電気製品(電気掃除機、トースターなど)
- (3)ITおよび遠隔通信機器(パソコン、プリンター、複写機など)
- (4)民生用機器(ラジオ、テレビ、ビデオカメラなど)
- (5)照明装置(家庭用以外の蛍光灯など)
- (6)電動工具(据付型の大型産業用工具を除く)(旋盤、フライス盤など)
- (7)玩具、レジャーおよびスポーツ機器(ビデオゲーム機など)
- (8)自動販売機類(飲料缶販売機、貨幣用自動ディスペンサーなど)
EU WEEE指令(2002/96/EC)のカテゴリー8(医療用デバイス)、9(監視および制御機器)を除く8つのカテゴリーと同一です。なお、附属書2には「商品の名称および分類についての統一システム(HS)コード」が明記された製品リストが記載されています。
- 規制対象物質(第5条)と最大許容濃度(附属書1)
均質材料あたりの最大許容濃度は下記の通りで、測定方法はIEC62321または同等の試験方法によります。
- ・鉛、水銀、六価クロム、PBB、 PBDE 0.1wt%
- ・カドミウム 0.01wt%
- 用途の適用除外項目(附属書3)
用途の適用除外項目は、附属書3(附属書1の除外項目)に表示されています。ベトナム版RoHSの適用除外は、EU RoHS指令の2010/571/EUによる適用除外項目と同一のもの(適用除外期限を過ぎたものは除かれている)になっています。
- 2012年12月1日以降の情報開示(第6条)
2012年12月1日以降、電気電子機器に含有する特定有害物質(6物質)の含有量について、上市前に次のいずれかの方法により情報を開示することが必要です。
- ・企業のウエブサイト
- ・ユーザーズガイド/取扱説明書
- ・電子媒体(たとえばCD)
- ・製品または包装に直接印刷
以上の通り、ベトナム版RoHSはEUのWEEE指令やRoHS指令(2002/95/EC)の内容を踏襲しており、6つの規制対象物質や最大許容濃度、適用除外、8つの対象製品カテゴリー共に同様の内容になっています。