電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
改正RoHS指令により、2013年1月2日以降に上市する対象製品について、特定有害6物質の非含有への適合を宣言し、CEマークの貼付が義務付けられました。なお、CEマークの貼付は、改正RoHS指令だけでなく、当該電気電子機器が他に該当するニューアプローチ指令があれば、各指令の要求事項すべてに適合することが必要となります。
改正RoHS指令が対象とする電気電子機器に関連するニューアプローチ指令としては、低電圧指令、EMC指令、玩具指令、医療機器指令、機械指令、無線・電気通信端末機器指令等があります。各指令が定めている対象製品は、指令ごとに異なるため、自社製品がどの指令に該当しているのかを自社で判断することが必要です。
また、CEマークを貼付するためには、適合宣言書およびその根拠となる技術文書を作成することが求められています。技術文書は通常、次のような項目を記載することで、適合宣言書の内容を担保することになります。なお、適合宣言書、技術文書ともに10年間の保管義務があります。
ご質問でご指摘のとおり、CEマークの貼付は電気電子機器の完成品(finished EEE)が対象であり、電気電子機器に組み込まれる部品などについては、CEマークの貼付は必要ありません。そのため、要求事項を満たしていることを示す根拠となる技術文書および適合宣言書についても、改正RoHS指令によって部品メーカーに直接義務付けられるものではありません。部品メーカーとしては、これまでどおり得意先である完成品メーカーのグリーン調達等の要請に対応することが必要になります。
ただし、改正RoHS指令の第16条2項では、材料や部品についても、「EU官報で公表される整合規格に基づく、試験、測定、評価により含有制限に適合していることを示すことができれば、改正RoHS指令に適合すると見做される」としています。CEマークを貼付するためには適合性評価を行うことが求められますが、その際に利用されるのが、整合規格です。整合規格とは、各指令で明記されていない具体的な技術基準を定めた規格であり、整合規格に適合することで各指令の必須要求事項に適合したもの見做されます。整合規格を利用するか否かは任意ですが、利用しない場合には、第三者機関または独自で適合性を証明することが求められます。なお、改正RoHS指令に関する整合規格は、現在策定中です。
今後、完成品メーカーがCEマーク貼付のために、適合宣言書や技術文書を作成するにあたり、サプライヤーである部品メーカーに対して、製品含有化学物質管理の強化を要請することも想定されます。サプライヤーの立場で自社の取組が妥当であることを自己宣言するとともに、得意先である完成品メーカーを納得させることが必要です。
そのためには、部品メーカーとして、直接の作成・対応義務はないものの、完成品が適合を求められる整合規格の内容を理解し、対応するとともに、技術文書や適合宣言書等により、自社製品の適合性を証明し、自社の取組を得意先に伝達していくが必要であると考えます。