電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
従来のRoHS指令では、適用範囲について第2条1項で「RoHS指令第6条を侵害することなしに、WEEE指令の附属書1Aに記載されているカテゴリー1、2、3、4、5、6、7、10に含まれる電子電気機器、および家庭で使用される白熱灯および照明器具について本指令を適用する」としていました。
RoHS指令が引用しているWEEE指令では、第2条で「付属書IAに規定されるカテゴリーに属する電気電子機器に適用される。その製品が、本指令の適用範囲外の別の製品の一部をなすものである場合には、これを除く」としています。この除外例として、自動車、列車、飛行機に組み込まれる照明または娯楽装置があげられていました。
今回の改訂RoHS指令では、RoHS指令の附属書に適用対象が記載されるようになり、従来除外対象であった「8.医療機器」「9.監視および制御機器」の2カテゴリーが追加され、さらにカテゴリー11(1-10に含まれないその他のEEE)が追加されて適用範囲が拡大しました。
一方で、第2条4項で適用除外製品として10製品が明記されるようになっています。
1. 船舶向け部品の扱い
4項(f)に「人や貨物を運搬する手段、ただし型式認可されていない電動二輪車を除く」と記載されていますので、船舶に使用される貴社の部品は適用除外と判断できます。
ただし、船舶向け部品に関しては2009年5月に採択されたシップリサイクル条約が今後発効されるとその適用を受けることになります。
シップリサイクル条約では、条約の附属書附録1で規定されたアスベストやポリ塩化ビフェニル(PCBs)を含む4物質については閾値にしたがい、500GT(総トン数)以上の船舶への新規搭載が禁止されます。
さらに、同条約の附属書付録2で規定されたカドミウムおよびカドミウム化合物や六価クロムおよび六価クロム化合物を含む9物質については、閾値にしたがいその種類や概算量などを記載した一覧表(有害物質インベントリ)の作成・維持が求められます。
貴社の船舶向け部品に関しては、今後発効が見込まれるシップリサイクル条約の適用を受ける物質が含有されていなかどうかを把握する必要があります。
シップリサイクル条約の詳細についてはQ&A221を参照してください。
2. 鉄道向け部品の扱い
鉄道車両や機関車(railcars and locomotives)は、non-road mobile machinery(オフロード移動機械)に含まれます。
4項(g)に「職業用途以外に利用される非道路用の車両機械」と記載されていますので、鉄道に使用される貴社の部品は適用除外と判断できます。
3. 適用外装置の部品の扱い
また、4項c「指令の適用除外もしくは適用範囲外である別の型の装置の一部として特別に設計され、固定される装置で別の装置の一部分として機能し、同じ特別に設計された装置によってのみ置き換えられる装置」も除外されます。