電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
1.工業用測定機器はRoHS指令の対象になるか?
改正RoHS指令は附属書Iに記載されている11種のカテゴリーに該当する定格電圧が交流1000V以下、直流1500V以下の電子電気機器(EEE)に適用されます。
さらに、改正RoHS指令が適用されるEEEに関しては、改正RoHS指令のFAQのガイダンス文書のドラフトにおいて、「少なくとも1つの意図している機能を電流、電磁場に依存している機器である」と記載されています。たとえ電流、電磁場に依存している機能が機器の機能の重要な要素でなくとも構いません。
すなわち、ご質問の工業用測定機器の機能の中に、電流・電磁場の作用で動作すると共に、機器の定格電圧が交流1000V以下、直流1500V以下で機能する要素があれば、改正RoHS指令が適用されるEEEに該当します。
次にご質問の工業用測定機器がEEEと判断される場合には、カテゴリー9「監視および制御機器」に該当すると考えられます。カテゴリー9は今回の改正によりカテゴリー8と共に新たに規制対象となったカテゴリーで、下記の通り2段階の適用時期が設定されています。
一般用:2014年7月22日以降に上市される製品
工業用:2017年7月22日以降に上市される製品
ご質問の工業用測定機器に関しては、2017年7月22日以降EU域内に上市する製品より適用されますので、それまでに有害化学物質の含有制限を始めとする各種義務に対応する準備を行う必要があります。
2.工業用測定機器を構成する金属、塗装は改正RoHS指令の対象になるか?
RoHS指令では、EU域内で上市される最終製品であるEEE全体が対象となり、特定有害物質の含有量を最大許容値以下にすることを求めています。ご質問の工業用測定機器がEEEとしてRoHS指令が適用される場合は、構成している電気、電子機器の部分だけではなく、機器を構成する可動する機械部分の金属、外装用の塗装部分も有害化学物質の含有制限の対象になります。すなわち、EEEを構成している個々の「均質材料」中の特定有害物質の含有量は最高許容値以下であることが必要です。そのために、EEEを構成しているすべての「均質材料」について個々に特定有害物質の含有量の確認・調査は必要です。
「均質材料」は機械的に分離できない状態の物質または材料のこととされ、ご質問の金属や塗装皮膜も「均質材料」と見なされます。均質物質の詳細に関してはQ&A16を参考にして下さい。