電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS(II)は加盟各国に対し、1月2日までに国内法制化するよう求めており、1月3日からRoHS指令は廃止され、RoHS(II)に置き換えられています。しかしながら、加盟各国の中には、英国やドイツのように12月に法制化した国もあれば、フランスやスペインのように期限に間に合わなかった国もあります。
ただし、各国の国内法で独自の内容は罰則や執行面であり、企業が順守すべき内容は、RoHS(II)と同様です。つまり国内法制化や国家規格が未制定であったとしても、RoHS(II)を順守することは必要となり、整合規格であるEN50581:2012、またはそれに相当するだけの独自基準等に基づき、適合宣言を行い、CEマークを貼付することが求められます。
RoHS(II)の整合規格である「EN50581:2012」は、欧州電気標準化委員会(CENELEC)から2012年9月に発行され、2012年11月にEU官報(2012/C 363/05)でRoHS(II)の整合規格として掲載されました。
EU加盟国は、CENELECが定めたEN規格の内容を自国の国家規格に反映することが定められており、EN50581:2012も各国の国家規格として準備しており、内容は国家規格で確認することになります。
CENELECのEN規格ではEN規格の制定および各国の国家規格への反映について次の5つの日付が定められています1)。
EN規格は独自に出版されることはなく、欧州各国の国家規格として発行されます。
名称 | 説明 | EN50581:2012の場合 |
---|---|---|
1. date of Ratification (DOR) |
CENELECの技術委員会が承認した日 | 2012年7月16日 |
2. date of Availability (DAV) |
承認された文書の公式言語最終版がCENELEC中央事務局から配布された日 | 2012年9月21日 |
3. date of Announcement (DOA) |
国家規格の告示期限日 | 2013年1月16日 |
4. date of Publication (DOP) |
国家規格の発行期限日 | 2013年7月16日 |
5. date of Withdrawal (DOW) |
EN規格と競合する国家規格の撤回期限日 | 2015年7月16日 |
ご質問のとおり、EN50581:2012の国家規格化の最終期限日は7月16日となっていますが、英国では2012年9月に「BS EN50581:2012」、ドイツでは2月に「DIN EN50581:2012」が発行されており、BS EN50581はすでに日本語訳も日本規格協会から提供されています。
国内法や国家規格がなければ、加盟各国で国内執行はできませんが、すでにRoHS(II)はスタートしており、「国家規格がないから」、「整合規格がないから」は未対応の言い訳にはならないものと考えます。前述のとおり、BS規格やその日本語訳などを利用しながら、整合規格であるEN50581を用いた適合宣言を行うことが必要であると考えます。
1)http://www.cenelec.eu/dyn/www/f?p=104:110:1572858778593765::::FSP_PROJECT,FSP_LANG_ID:23432,25#