電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令は日本国内企業には適用されません。ただし、貴社製品が貴社の顧客を通してEU域内に輸出される場合、もしくは貴社の顧客がEUの輸入者の場合、EU域内の輸入者にはRoHS指令が適用されます。そのため、貴社に対してRoHS指令の特定有害物質の含有情報などを求めてくる可能性があります。貴社製品がEUに輸出されるという前提で、手動工具に関するRoHS指令の対応について説明します。
RoHS指令は電子電気機器(EEE)を適用対象としています。RoHS(II)ではEEEを第3条第1項で以下のように定義しています。
EEEとは、適正に作動するために電流または電磁界に依存し、そのような電流、電磁界の生成、移動および測定用であり定格電圧が交流1,000V、直流1,500V以下で使用するよう設計されている機器である。
従いまして手動工具自体はRoHS指令の対象外となります。
ただし、手動工具が他の電動工具などに組み込まれて使用される前提で販売される場合、当該電動工具がRoHS指令の適用範囲に含まれるかどうかで対応が異なることになります。当該電動工具がRoHS指令の適用範囲に含まれる場合は、手動工具は付属品あるいはスペアパーツとみなされ、RoHS指令の適用対象となります。
他方、当該電動工具が「大型」装置に該当する場合は、RoHS指令の適用は受けません。RoHS(II)第2条第4項では「大型産業用固定工具」は適用対象外としており、RoHS(II) FAQにて大型産業用固定工具と大型固定装置についての説明が記載されています。その中で適用対象外となる工具の要件が以下のように記載されています。
具体的には、以下のような工具は「大型産業用固定工具」として適用対象外となります。
以上を整理すると、貴社製品の販売目的によりRoHS指令の適用対象かどうかが決まります。
なお、顧客との取引契約においてRoHS指令についての取り決めがある場合は、それに沿って顧客からの要求に対応することは必要です。