電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
改正RoHS指令(2011/65/EU)で新たに対象となったカテゴリー9の製品については、以下の日程でCEマーキング貼付、適合宣言書および技術文書の作成・保管が義務付けられています。
・カテゴリー9
監視・制御機器(一般用):2014年7月22日以降
監視・制御機器(工業産業用):2017年7月22日以降
改正RoHS指令の第3条に監視・制御装置に関する定義が記載されています(DIRECTIVE 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 June 2011)。
industrial monitoring and control instruments' means monitoring and control instruments designed for exclusively industrial or professional use.
(和訳)「産業用監視及び制御装置」とは、排他的に産業または専門家用途に設計されている監視又は制御用の機器を意味する。
上述の定義では、一般用と産業用の違いは明確にしておらず、ともにRoHS指令としての要求は変わらずに適用時期が異なるという解釈になります。
2012年12月に発行されたRoHS 2 FAQのQ6.3で同様の解釈が示されています。
また、同FAQのQ6.9で「専門的用途」について「専門的用途のために販売されるといえるためには、その意図するエンドユーザーが専門家であること」「専門的用途のみでしか使用できないことが必要」と解説しています。
このように、定義上では貴社の製品は貴社が工業生産用であると宣言しても、利用者の意図によりどちらにも適用され得る可能性があるということを考慮する必要があると思われます。
なお、Q6.9の後段で、「製造業者のコントロールできない領域で、流通業者がその電気電子機器を販売やレンタルなどにより非専門的用途で市場利用可能とさせることがある。このような場合は、流通業者がその電気電子機器の目的を変更するものであり、適合性の責任を負うこともある」としています。
Cat8/9に関する論点はERAの報告書(RoHS(I)レビュー:Cat8/9 Final Report)に論点が示されています。
産業用装置は量産品でなく多品種少量生産であり、信頼性試験や認証期間が長いなどの特徴を示しています。他にも産業用装置について解説をしていますが、かなり限定的に捉えています。
このような点を考慮しますと、一般用として使用される可能性があることを勘案すると可能な限り2014年(一般用)の適用時期に合わせておいた方が望ましいと思われます。
参考までに、他の指令を見てみますと、一般用と工業産業用の定義づけをしているものがあります(Q&A195参照)。
1.Erp(旧Eup)指令
実施規則Lot6(待機モード、オフモードの電力消費量)の対象品目を第1条で家庭用及びオフィス用電気電子機器と定め、その定義を第2条(定義)で「附属書Iの製品リストにあるもの」と規定しています。
この附属書Ⅰでは家庭用の電気電子機器の例示はありませんが、前文8節で、「EN55022:2006に定めるクラスB機器が該当する」と記載されています。
2.EMC指令
上記EN55022はEMC指令の整合規格で情報技術装置のエミッション規格です。
クラスB機器が家庭用ですので、EMC指令を用いてクラスAと宣言することで、家庭用ではないということが説明できる可能性があります。