電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では、原則として0.1wt%以上の鉛を含む電気電子機器の上市を禁止していますが、合金中の鉛に関しては適用除外用途として0.1wt%を超えた含有が認められてきました。2011年7月21日に発効した改正RoHS指令(2011/65/EU)では、以下3項目の適用除外について規定されました。
6(a)合金成分として、機械加工用鋼材および亜鉛メッキ鋼に含まれた0.35wt%までの鉛
6(b)合金成分として、アルミニウム材に含まれた0.4wt%までの鉛
6(c)銅合金に含まれた4wt%までの鉛
ご質問の真鍮材(銅合金)の鉛含有率については、6(c)にありますとおり4wt%まで適用除外となっていますが、これらの適用除外は、「禁止物質の除去、代替が科学的・技術的に不可能である」「代替品の信頼性がない」「代替品に起因するマイナスの影響が便益を上回る」場合に認められていますので、科学と技術の進歩に適合させていくことが第5条で規定されています。
そのため見直されることもあると同時に、その2項では当該付属書IIIでの除外の最長有効期間が、
となっています。この規定によりますと、上記の鉛については除外の有効期限は2016年7月21日までとなり、見直しにより延長がなければ、2016年7月22日以降は0.1%以上の鉛の含有は禁止されることになっております。
なお、この適用除外見直しについては第5条に引き続き記載があります。
欧州委員会が適用除外の決定を行うに当たっては、コミトロジー・プロセスと呼ばれる加盟国代表からなる委員会の補佐を受けることになりますが、規則(EU)No 182/2011の第5条には、その委員会が採択した場合は、欧州委員会も採択すべきであると規定しています。
従って、適用除外の見直しについては、このコミトロジー・プロセスの影響を強く受けることになりますので、注視しておく必要があります。
今後、上記委員会採択により適用除外の見直しがあり、有効期間が延長される可能性もありますが、予定通り解除されることも考慮して対応準備を進めることをお勧めします。
なお、日本伸銅協会によりますと、鉛の副産物として産出するビスマス(Bi)、もしくは地球上に最も大量に存在して毒性が皆無とされているシリコン(Si)を添加した新合金の業界団体規格(JCBA T204)が策定されています1)。
この新合金は鉛成分が0.1wt%以下に抑制されており、RoHS指令の基準も満たしているようですので、ご参考にされてもよいかもしれません。