電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS(II)は第7条(d)で、適合宣言書や技術文書をEU上市後10年間保管することを製造者に義務付けています。そのため、貴社の顧客であるEU輸出企業はこの義務を順守する必要があります。
ただし、RoHS(II)が要求する6物質の含有制限や技術文書の作成・保管等の義務の直接の対象者は、EUに製品を輸出する貴社の顧客であり、貴社はRoHS(II)の直接の義務対象ではありません。
しかしながら、RoHS(II)の要求事項を順守するためには、貴社の顧客だけでは対応が困難であり、貴社の顧客は、自社がRoHS(II)の要求事項を順守するためにグリーン調達基準や取引契約等を定め、貴社に対して6物質の含有制限や非含有保証書の提出等のRoHS(II)への対応を要請されているものと思われます。
ご質問の適合宣言書や技術文書の10年間保管についてですが、上述のとおり、貴社は直接の義務対象ではありません。そのため、ご質問の非含有保証書の保管についても、貴社と顧客との間の取り決めに基づいて対応することになります。これは、グリーン調達基準や取引契約等の顧客からの要請に従って、貴社がすでに対応されている非含有保証書の「提出」と同様の位置づけであると言えます。
ただし、すでに6物質の含有制限への対応は、取引上必須の要件となっており、貴社も顧客要請に非含有保証書を提出されています。そのため、顧客に提出した非含有保証書やその根拠資料などについては、今後顧客から何らかの問い合わせがある場合も想定されます。その際に貴社が提出した非含有保証書や分析データ等の根拠資料がなければ、顧客への説明が困難になるものと思います。
リスク管理の観点から、顧客の保管期間と同等程度の期間は、関連文書を保管し、不測の事態に備えておくことが必要であると考えます。