電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
ご質問の大型固定装置ですが、産業用大型固定工具と大型固定据付装置のいずれかが判然としませんので双方を含めて回答します。
「産業用大型固定工具」と「大型固定据付装置」は、RoHS(II)の第2条(4)(d)と第2条(4)(e)で適用除外とされています。また、第3条(4)と(5)で両者が定義されていますが、「大型」についてはその定義を明確に定めていません。
「大型」を解釈する際の手がかりとしては、2012年12月12日付けでEU環境総局から示されたFAQがあります。FAQの「3. Scope-Large-scale Exclusions」において、「産業用大型固定工具」と「大型固定据付装置」の除外要件に関する詳細な解説が記載されています。
ただし、FAQ中にも記載がありますが、「工具」と「装置」では「大型」の意味が異なる点に留意が必要です。
「大型」とは本来、寸法の基準を述べたもので、大型の工具および装置とそれ以外の類似のより小規模な装置との間には境界線を引くことができます。しかし、RoHS(II)では上述のように明確な定義はされていませんので、「工具」「装置」の適用除外を受けられるかを評価するのは、製造業者、組立業者、ユーザーの責任となります。
さらにFAQ中には、適用除外に相当するかどうか判断するための手助けとして、「大型工具」と「大型装置」が例示されています。
また、輸送に関しては、直接の寸法基準が紹介されています。以下のガイダンス尺度と量的基準は装置に適用することが可能であり、もし、装置が下記の基準を一つでも超えれば、大型であると考えられます。
1.寸法
装置の設置や取外しをする際、運ぶべきパーツの合計が5.71m×2.35m×2.39mを超えてISO規格の20フィートコンテナでは運べない場合、これは大型であると考えます。
2.重量
多くの道路輸送トラックの重量の上限は44トンであるため、装置の設置、取外しの際に44トントラックで運べない場合、これは大型であると考えることができます。
FAQの「大型」の定義をめぐる解釈については、2012年8月10日付けコラムでも解説されていますので併せてご参照ください。