電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
最大許容濃度(閾値)は2005年8月19日に官報(COMMISSION DECISION of 18 August 2005 Official Journal of the European Union 19.8.2005 L 214/659)で正式に告示されました。
最大許容濃度は均質材料について次となっています。
例えば、RoHS指令では、カドミウムは100ppm(0.01wt%)ですが、顧客は自社の価値観やリスクマネジメントの視点で、5ppmあるいは75ppmなどにしています。
顧客の調達条件として、5ppmなどが示されば、法律でなく売買条件を順守するために5ppm以下にする必要があります。電気電子業界のデファクト・スタンダードになってきているがJIGです。JIGでは、例えばカドミウムは75ppmまたは意図的添加の場合は、報告することを求めています。JIGを採用している企業も、JIGによる報告様式や表示条件を満たしていることと、自社の独自の、例えば樹脂中のカドミウムは5ppmなどの両方を要求しています。各社の要求基準を統一することはかなり困難です。
各社の調達基準の意図的添加、非意図的添加はELV指令で、「意図的でない場合の最大許容濃度は鉛、水銀、6価クロム0.1wt%、カドミウムは 0.01wt%」(a maximum concentration valuEUp to 0.1 % by weight and per homogeneous material, for lead, ・・・ shall be tolerated,provided these substances are not intentionally introduced)」となっていたことに由来すると思います。
ELV指令では、意図的添加でない場合は0.1wt%(1,000ppm)が許容値になり、意図的添加は許されないと解釈できます。これを根拠に意図的添加の全廃を打ち出したセットメーカーが多くあります。
しかし、ELV指令の付属書(ANNEX)が2005年9月30日の官報で「意図的添加の条件が削除」されました。
A maximum concentration valuEUp to 1 % by weight and per homogeneous material, for lead, ・・・ shall be tolerated.
意図的添加の用語はなくなりましたが、添加してもよいとも解釈できますが、グリーン・コンシューマーの意向などを考慮しますと、今後も意図的添加は最大許容濃度以下であっても控える方がリスクは少なくなると思います。
改正前のELVでは、意図的添加の定義として、「最終製品に特定の特徴、外見もしくは質を提供するために、故意に利用されたことを意味します。新製品製造の供給材料としてリサイクルされた材料を使用することは、規制される金属をいくらかは含むかもしれないが、意図的に導入されたとは考えない」としていました。
JIGでは、意図的添加の定義として、「特定の特性、外観、または品質をもたらすために継続的な含有が望ましい場合に、製品または部品の形成時に故意に使用すること」としています。天然存在やリサイクルでの混入などはやむ得ないとする考えです。
なお、RoHS指令は下記のように当初から意図的、非意図的の用語はありません。
a maximum concentration value of 0.1 % by weight in homogenous materials for lead;