電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
一般的な測定フローを図1に示します(「よく分かるWEEE&RoHS指令とグリーン調達」、日刊工業新聞社刊を参考に作成した)。
IEC62321やJ-MOSSでは蛍光X線分析でスクリーンし、必要な場合は『精密分析』で定量することになっています。蛍光X線分析で、Pb、Cd、Hg、トータル臭素、クロムが検出されないか、明らかに許容濃度以下であれば、それで分析は終らせる方式です。
対象6物質ごとの『精密分析』法には以下のような方法があります。
いずれの方法もサンプル (均質材料) を定められた前処理を行った後に、分析・定量化を行います。いずれの方法も、分析にかける溶液の調製に時間がかかります。
迅速分析法については、個々の企業さまの対応は確認できておりません。
客観的データの裏打ちはありませんが、いろいろな場でのお話をお聞きしたところではそれぞれご苦労をされております。IEC62321の方法だけではないことも確かです(手間隙がたいへんということもあって)。
迅速簡便な測定方法としては、例えば「一滴抽出法」(三菱電機)や、「IAMS(Ion Attachment Mass Spectrometry)」(キャノンアネルバテクニクス)などが考案されています。「一滴抽出法」では、試験片を少量の溶剤で抽出し、TOF-SIMS (Time of Flight-Secondary Ion Mass Spectrometry) で測定します。6価Cr, PBB、PBDE等臭素慶難燃剤を1時間以内で分析ができると報告されています。一方「IAMS」方法では、試験片を直接分析にかけることができ、臭素系難燃剤の定量を15分程度でできるとされています。ラマン法は、学会発表がされ注目を集めてはいますが、普及はこれからかと思います。
非含有証明を出す場合の『精密分析』を省略できる方法としては、一例として、蛍光X線分析のデータとサプライヤーの工程管理や2者監査などの傍証を含めて判断するのが、よいのではと思います。
なお、JEITA (社団法人電子情報技術協会)では経済経済省の支援を受けて、会員企業向けに汎用電子部品のDBを作成して公開しています。登録件数は約20万品目と聞いており、現在さらに拡充しています。汎用電子部品を使用されている場合には、当該DBを活用することにより、『精密分析』を省略できる可能性があります。
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