EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ゴムマスターバッチはゴム原料に配合剤を添加した調剤ですので、個々の物質については、REACHに関する対応状況を整理することが必要と考えます。
まず、EUから輸入しているゴム原料については、EUへの再輸出になりますので、すでに登録していれば新たな登録義務はありません。したがって、ゴム原料の購入に当たっては、その構成成分(モノマー等)の登録情報を入手し、その情報を添えて輸出手続をとることが必要と考えます。今回の場合は貴社の工場へ輸出するので、使用するゴム原料の購入先やスペック等の企業秘密が外部へ流出する恐れはないと考えますので、これらの情報を揃えることで、無用のトラブルを防げると考えます。
ただし、注意しなければならないことは、ゴム原料の購入先が複数社にまたがっている場合です。その場合、EUの各メーカーはそれぞれ登録に必要な規模(1t/年)を生産していない、もしくは登録していない可能性も考えられます。その場合は貴社で登録する必要があります。
なお、ポリマー中のモノマーやEUへの再輸入物質については、そのサプライチェーンで登録されていれば、登録が免除されていますが、登録には「予備登録」は含まれないという法的解釈の結論が出されています。これに対しては一部の国から法執行のプライオリティーを低くするように求められており、各加盟国では法執行について検討しているようです1)。
現時点では、厳密な法執行についての明確な情報を入手できていません。予備登録だけの場合、厳密に法執行されますと、登録済みのゴム原料を購入するか、あるいはこれまでの輸出量が1t未満の場合は、予備登録書類の提出が必要になるケースも考えられます。上述の通り、法施行のプライオリティーを低くされる場合は、少なくとも購入先からは予備登録していることを示す確かな書類を入手して、マスターバッチの輸出に際しては、予備登録済みの証拠として提出できるようにすることが必要と考えます。
配合剤については、すでにREACH対応済みのようですので、供給者よりREACH対応の書類を入手し、ゴムマスターバッチの輸出書類に添付することが必要と考えます。
次にゴムマスターバッチは調剤ですので、情報提供の義務があります。
配合成分物質の危険有害性により、REACH規則第31条のSDSの提供か、SDSの提供が必要でない場合には、第32条の配合剤の認可対象、制限、あるいはリスク管理をする上での情報の提供が必要になります。
Q12にポリマーの輸出、2009年4月24日付けコラムに調剤の製造業者に要求される拡張SDSに関する情報が記されておりますので、合わせてご参照ください。
参考資料1)http://www.nikkakyo.org/reach/_documents/REACHsupport090116.pdf