EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
結論としては、そのモノマーが下記に述べる場合には、登録されている必要があります。しかし、登録義務があるのは、そのポリマーを扱うEU域内に拠点をもつ業者で、輸出業者である貴社には登録の必要はありません。当ケースでの「ポリマーとモノマーの登録の必要性」と「登録義務はどのような立場の業者に発生するのか」の2つの視点から回答します。
「ポリマーとモノマーの登録の必要性」では、ポリマーにはその必要はありませんが、ポリマーが未登録のモノマーを2%以上含んでおり年間生産量が1t以上の場合に、登録の必要が生じます。またその登録は、同一サプライチェーン上の業者が行っている場合に有効となります。すなわち、同じモノマーがほかのサプライチェーン上の業者によって登録されていても、その登録は自社サプライチェーンには有効ではありません。当該モノマーが以上の条件に当てはまる場合、貴サプライチェーンとしての登録の必要性が生じます。
そこで必要性が生じた場合、2点目の「登録の義務はどのような立場の業者に発生するのか」という検討になります。前述の通り、輸出業者である貴社には登録の必要はありません。登録を行うことができ、かつ必要があるのは以下の立場の業者です。
仮に上記1、2の業者が登録を行う場合、輸出者である貴社は、彼らの登録業務をサポートするために当該ポリマーの組成・重合度などのノウハウに関する情報(場合によっては秘密情報も含む)を開示する必要がでてきます。それに対して3の「唯一の代理人」を指定すれば、それらのビジネスの秘密情報を輸出先に開示せずに登録が可能になり、登録プロセス全体の管理も容易になります。また、輸入者は川下利用者とみなされて登録の義務から逃れられるため、双方にとってメリットがあると考えられます。
この「唯一の代理人」には、輸入量や販売先情報、安全データーシートの最新版などを管理し、常に最新状態に維持することが求められています。当然「唯一の代理人」には製造者として十分な対応を行うことが必要になります。登録の内容などに関する事項は当Q&A中のQ&A1、2、6、7を、また「唯一の代理人」については4月13日付けのコラムをあわせてご参照ください。