EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2012年12月19日に特定されたSVHC(以下、「第8次」)、および2013年6月20日(以下、「第9次」)で追加されたSVHCの「4-ノニルフェノール化合物」は、それぞれ下記の通り別物質です。
・第8次(2012年12月19日)でSVHCとして特定された【4-ノニルフェノール】(2013年1月18日付けコラム参照)。
4-ノニルフェノール、分岐および直鎖〔炭素数9個のアルキル基(分岐および直鎖)がフェノール基の4位に結合した物質、個別の異性体、および、これらの混合物で、UVCBおよび組成が特定された物質を含む〕
・第9次(2013年6月20日)でSVHCとして特定された【4-ノニルフェノールエトキシレート】(2013年7月5日付けコラム参照)。
4-ノニルフェノール、分岐および直鎖〔ノニル基は、炭素数9の直鎖および分岐のアルキル基のすべての異性体の単独物、および混合物(UVCB)がフェノールの4位に結合、エトキシレートの付加数は単一のものからUVCB、ポリマー等すべてのものを含む〕
第8次で特定されたSVHCは、4-ノニルフェノールそのものですが、第9次で特定されたSVHCは、フェノール基にエチレンオキサイド(C2H4O)を付加した化合物、すなわち、4-ノニルフェノールエトキシレートです。
どちらもノニル基は、炭素数9の直鎖および分岐のアルキルのすべての異性体の単独物、および混合物(UVCB)として同じです。第9次のSVHCのエトキシレートは、フェノールに付加したエチレンオキサイドの付加数については特定されず、単一のものから付加数の異なるポリマー等すべてのものを含むUVCBと定義されるものです。
ご質問のSVHCの含有濃度計算は、特定されたSVHCについて行えばよく、特定されたSVHCに別に特定されたSVHCの一部の基が含まれていても、それぞれの濃度を算出する必要はなく、含有しているSVHCのみについて濃度算出をすればよいことになります。
ご質問のケースでは、第9次で特定された、4-ノニルフェノールエトキシレートを含有している場合は、4-ノニルフェノールエトキシレートについてのみ濃度を算出すればよく、4-ノニルフェノールについての濃度を算出する必要はありません。
なお、4-ノニルフェノールエトキシレートがSVHCとして特定されたのは、4-ノニルフェノールエトキシレートが環境中に排出された場合に、4-ノニルフェノールエトキシレートが生分解によりノニルフェノールに分解されためで、附属書XVの提案書等に説明があります1)、2)。
図-ノニルフェノールエトキシレートの生物学的分解経路例2)
(環境省HP掲載「ノニルフェノールエトキシレートについて」より)
1)
http://echa.europa.eu/documents/10162/f24cf2d8-11d5-4495-9e18-065b34e94e0b