電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2010年11月22日にEU議会の本会議でRoHS指令改正案(以下、改正案)が提案され同月24日に採択されました。
改正案が適用される電気・電子機器の定義は「正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器で、直流1,500V、交流1,000Vを超えない定格電圧で稼働する機器」で、現行のRoHS指令と同一です。ただし、軍事用、宇宙用機器、大型固定工具、大型固定据付機器や能動型埋込医用機器などが除外されます。
改正案では、現行RoHS指令の10製品群に、カテゴリー11として、現行の10製品群ではカバーされないその他の電気・電子機器が加えられ、すべての電気・電子機器が適用対象となっています。
改正案では生産者の義務が以下のように明記されました。
(a)予防(第4条)
電気・電子機器、ケーブル(定格250V以下の電気差し込み口または2つ以上の電気・電子機器を接続する機能を持つ)およびスペアパーツ(修理、再利用、機能のアップグレード用)は、附属書IIに収載された物質(特定有害6物質)を非含有(最大許容濃度以下)とすることとされています。
ただし、以下のケーブルおよびスペアパーツには適用されません。
(1)2006年7月1日以前に上市した電気・電子機器
(2)適用時期以前の医療機器、監視・制御機器、体外診断機器および産業用監視・制御機器
(3)用途の免除により上市した電気電子機器
(b)適合宣言とCEマーキング(第13条~第15条)
新たに附属書VIによる適合宣言書とCEマークの貼付が義務化されました。
CEマーキングは768/2008/EC(製品販売のための共通枠組み)のモジュールA(内部生産管理)による適合宣言をし、適合製品にはCEマークを貼付することで、EU域内を自由に流通させることができます。
ただし、CEマークは改正案第14条で電気・電子機器の完成品(finished EEE)への貼付が要求されています。従い、ケーブルおよびスペアパーツへの貼付は要求されていないと考えられます。
以上の通り、生産者はケーブル、スペアパーツを含めて電気・電子機器に特定有害物質を非含有とし、その適合性を適合宣言・CEマークにより明示する必要があります。
なお、RoHS指令改正案については2010年12月3日付コラムを参照ください。