EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
調剤に含まれる成分が1t未満であれば登録の必要はありません。
REACH規則では、調剤についての登録義務はありませんが、調剤中の物質の輸入量または生産量が年間1t以上の場合に、EU域内の輸入者か製造者により登録の義務が生じます。
登録できるのは、EU域内の自然人または法人のみとなっています。EU域外の製造者、加工者、または成形品生産者(以下、製造者など)は、直接物質の登録はできませんが「唯一の代理人」を指名して、輸入者の義務をさせることができます。
一般的に輸入者は、技術に関する情報や知識が不足することがあるので、輸入者の義務を果たすためにEU以外の製造者によってEU所在の法人また自然人を「唯一の代理人」に指名することができます。「唯一の代理人」が登録を行い、輸入者は川下ユーザーと見なされます。この場合、貴社は輸入者に「唯一の代理人」を指名したことを連絡する必要があります。
EU域外の販売者(商社などの輸出業者)は、「唯一の代理人」を活用することはできませんのでご注意下さい。「唯一の代理人」については、Q&A60とコラム「REACH規則の唯一の代理人とは?」に詳細な説明があります。
物質あるいは調剤の供給先(受給者)へは、量に関係なく、1t未満でも次の情報の提供の義務があります。
a. SDSの提供義務
サプライチェーンにおける情報伝達のルールとして、REACHの第31条に、i)物質または調剤が指令67/548 /EECまたは指令1999/45/ECの危険性の分類基準に該当する場合、ii)物質が附属書XIIIに定めるPBT物質、vPvB物質に該当する場合、iii)上記I)、および、ii)以外の理由で、物質が認可対象候補物質とされた場合は、安全性データシート(SDS)を物質または調剤の受給者に提供しなければならないとされています。
b. SDSの提供義務がない場合の情報提供義務
またREACHの第32条に、リスク管理に関する入手可能で適切な情報のある物質でSDSは必要ないものについて、その情報をサプライチェーンの次の行為者に提示することを要求しています。その場合、入手可能であれば、登録番号は提供されるべきです。このことは、次の行為者が、何らかの必要な管理を実施することを可能にします。詳細はQ&A73をご参照ください。
企業秘密に関しては、附属書II(安全データシートの編纂に対する手引き)に、組成と成分に関する情報について、「その組成およびそれらの濃度の一般的記述は有用であるが、完全な組成(その構成成分の種類および濃度)を提供することは必要ではない」となっています。
Q&A14、Q&A46、コラム「REACHにおける情報公開」もご参照ください。